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【市況】国内株式市場見通し:米主要決算を見極め、イグニス上場による波及効果に期待


■アベノミクス(安倍政権)以降、初の5日続落

先週の日経平均は下落。前週末の米国が独立記念日の祝日で三連休となるなか、週初は外国人のフローが減少する格好から、日経平均は15500円を目前に上げ一服となった。その後も米モメンタム株の不安定な値動きや為替相場の円高の流れなどもあり、じり安基調に。週末はポルトガル大手行の信用不安を受けてユーロ圏の脆弱性への懸念が再燃すると、日経平均は支持線として意識されていた25日線を割り込んでしまった。日経平均が足元で調整をみせるなか、引き続き個人主体によるテーマ株物色が活発となったが、主要銘柄の相次ぐ信用規制の流れや、米モメンタム株の下落影響から資金の逃げ足も速く、次第に物色対象も絞られていた。

下値では日銀によるETF買い(8日から4日間連続、日々144億円)や年金資金とみられる買いが下支えする格好ではあったが、結局、日経平均は週を通じて下げており、5日続落に。これまで4日続落は幾度かあったが、5日続落は2012年11月5日から13日の間での7営業日続落以来となり、アベノミクス(安倍政権)以降では初となる。

■米主要企業の決算、日銀の金融政策決定会合

今週も引き続き不安定な相場展開のなりそうである。ポルトガル大手行の信用不安については、ポルトガル中銀による「同行の財務状態は最近の資本増強で大幅に強化されている」との報道もあり、リスクオフに向かわせるまでにはならないと考えられる。しかし、現実としてギリシャ国債など他の周辺国債にも売りが波及する格好となったわけであり、上値追いを慎重にさせる要因になりそうだ。

そのほか、10 日に5 月の機械受注(電力と船舶を除く民需)が発表され、大幅に落ち込んだことが当日の下落要因とされていた。しかし、そもそも市場の関心が高かったとは考えづらく、これまでなら、反対に追加緩和への期待感などから押し目買いを強めていたと考えられ、需給調整が必要な状況にも映る。

また、今週は米国では決算発表が本格化する。先週は米アルミ大手アルコアの決算が予想を上回る格好となったが、今週はゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、インテル、ヤフー、モルガン・スタンレー、グーグルなど主要銘柄の発表が予定されているため、結果を見極めたいとする様子見ムードが高まりやすいだろう。

そのほか、今週は14、15日に日本銀行が政策委員会・金融政策決定会合を開く。15、16日にはイエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長が上院銀行委員会、下院金融委員会で半期に一度の議会証言を行う。16日には米地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表される。日銀会合では物価や成長率の見通しをほぼ維持する見通しであり、足元の景気の基調判断も「緩やかな回復を続けている」に据え置くとみられている。年内の緩和を予想する向きも減少しているなか、サプライズはないだろう。

■GPIF関連報道も市場反応は

また、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、運用体制を大幅に見直すと伝えられている。現場の運用責任者に民間人材をスカウトするなど体制を強化し、運用成績の向上をめざすと。また、現場の運用責任者に、銀行や証券会社から一流の人材を招くほか、運用成績によって報酬が変わる成果型を適用するとも伝えている。ヘッジファンド並みの運用手法への思惑が高まる可能性はありそうだが、このところの政府のリップサービスへの市場反応も限られよう。少額投資非課税制度(NISA)の非課税枠拡大についても、好反応は期待しづらい。

■鳥貴族の次はイグニスに期待

物色は決算内容を手掛かりにした個別対応と、回転の速い資金によるテーマ株などの循環といったところか。また、15日にはスマートフォンアプリなどを手掛けるイグニス<3689>がマザーズに新規上場する。先週はジャスダック市場に上場した焼き鳥チェーン、鳥貴族<3193>がストップ高をつけるなど好調なスタートを切っていた。今週はイグニスの動向と、上場をキッカケにアプリやゲーム関連への波及がみられるかが注目されるところか。

《TN》

 提供:フィスコ

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