【市況】【杉村富生の短期相場観測】
「需給の好転を受け、サマーラリーがスタート!」
●外国人が強気に転換し、年金が買い参戦!
サマーラリーのスタートである。今夏の相場には期待できる。企業業績などファンダメンタルズが良好なことに加え、需給の改善が著しい。年初以来、売り越し基調だった外国人が強気に転換、国内勢は年金を中心に買い参戦している。
もとより、個人投資家は元気である。個人投資家を引きつける妙薬は株高ということか。
2014年3月期は「3社に1社」が史上最高の決算となったが、2015年3月期については引き続いて「4社に1社」が最高益を更新するだろう、と予想されている。
投資価値の向上は顕著である。2014年3月期は5割の企業が増配に進み、その配当金総額は6.9兆円に達した。これは史上最高の配当金総額である。
さらに、自社株買いも急増している。この結果、2014年度の株主還元額(配当金+自社株買い)は12兆円(これまでの最高は2007年度の12.2兆円)に迫るだろう。
●景気失速懸念は杞憂に終わる!
いや、現状のペースでは12.2兆円を上回る可能性がある。
一方、日本経済は2014年1~3月期のGDPがリーマン・ショック前の水準をクリアしたように、復調が鮮明となっている。
それに、消費税引き上げ(5%→8%)に伴う景気失速懸念は杞憂に終わった。外国人が気にしていたのはひとえにこのことにあった。今後、日本の株式市場は出遅れ修正の動きを強めるだろう。
なにしろ、NYダウ、S&P500指数、DAX指数(ドイツ)は史上最高値圏にある。これは欧米のマーケットがウクライナ、イラク情勢の緊迫化などをまったく気にしていないことを意味する。
日経平均株価は早晩、昨年12月30日高値1万6291円を奪回するだろう。そのあとには金融危機(サブプライムローン・ショック、リーマン・ショック、ユーロ不安)前の高値(2007年7月9日の1万8261円)が控えている。この水準到達はそんなに困難な道のりではないと思う。
●安倍政権の「新成長戦略」が始動!
すでに、NYダウは金融危機前の高値(2007年10月9日の1万4164ドル)を大幅に上回っている(7月1日は1万6956ドル)。日経平均株価がNYダウを追うのは当然ではないか。
改善しているのは企業業績だけではない。6月24日に閣議決定された安倍政権の「新成長戦略」と「骨太の方針」はほぼマーケットの期待に沿うものだった。すなわち、法人実効税率の引き下げ方針、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人→運用資産129兆円)の運用体制の見直しなどが盛り込まれている。
さらに、「ホワイトカラー・エグゼプション」の導入、外国人技能実習制度、医療分野での混合診療、農協改革など、“岩盤規制”に踏み込んでいる。秋の国会ではカジノ解禁が実現するだろう。
●機関投資家が買っている銘柄を狙う!
物色面ではやはり、外国人、年金など機関投資家が執拗な買いを入れている銘柄が強い。その代表が銀行株である。三菱UFJ <8306> は昨年5月15日の高値750円奪回が最低目標となる。
個別銘柄では好業績にチャート妙味を加味し、東鉄工 <1835> 、テンプHD <2181> 、日本ペ <4612> 、王将フード <9936> 、ダイキン <6367> 、大同メ <7245> などに注目できる。
個人投資家好みの銘柄ではワイヤレスG <9419> [東証M]、日本マイクロ <6871> [JQ]、UNITED <2497> [東証M]、Jトラスト <8508> [東証2]などに妙味があろう。
2014年7月2日 記
(「チャートブック日足集」No.1527より転載)
(「株探」編集部)