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【特集】アデランス Research Memo(2):早くから女性市場や海外へ進出、今日の強みにつながる


■会社概要

(1)会社沿革

アデランス<8170>は、現社長の根本信男氏らにより1968年に創業された。創業当時は男性用オーダーメイドかつらが主体であった。1985年に子会社となったフォンテーヌ株式会社は1970年から、鐘淵化学工業(現カネカ<4118>)の子会社として「フォンテーヌ」ブランドの女性用レディメイドかつらの販売を行っていた。

同社は、国内での業容拡大と並行する形で、早くから海外展開に乗り出した。最初の海外進出は1979年で米国に設立した現地法人アデランス・コーポレーション・オブ・アメリカである。また、製造工場として、1986年にはアデランス・タイを設立して、海外生産に乗り出した。

1990年代は、同社の業績が一気に成長した時期であった。国内ではオーダーメイドかつら販売のための女性専用サロンの展開を開始し、今日につながる女性用かつらメーカーのトップ企業としての足場を固めた。海外においてはアデランス・ヨーロッパの設立と、欧州主要国での有力かつら販売会社の買収を通じて欧州での基盤を固めた。欧州は国別に市場構造やブランドが分かれているため、自社でゼロから開拓するよりも、有力な地場資本の企業を買収した方が効果的という判断である。北米では、1980年代末から再度投資を活発化させて、現地のかつら卸業者などを買収していたが、1990年代に入るとその動きを加速させ、ニュー・コンセプト社、ジェネラル・ウィッグ社などを買収した。1990年代の圧倒的な成長期を経て、2002年3月期に同社は利益面での過去最高を記録する(売上高で過去最高となった時期は2003年2月期)。しかしその後、同社は減益基調をたどり続けることとなる。

2000年代初頭をピークに、同社の業績は下降線をたどった。非かつら勢力の台頭、かつら市場の成長鈍化、かつら市場でのシェア低下などの要因が重なったことが理由だ。同社は国内外でリストラを行って業績の立て直しを図ったが、リーマン・ショックなど経済情勢の悪化もあって回復が遅れ、業績は一時期、大幅な赤字を計上するに至った。2012年2月期にようやく底を打ち、それ以降は業績回復の途上にある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《FA》

 提供:フィスコ

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