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【経済】NYの視点:イエレンFRB議長はディフェンシブ、利上げ急がず


米連邦公開市場委員会(FOMC)は6月の定例会合で市場の予想通り政策金利であるFF金利誘導目標を0-0.25%レンジで据え置き、資産購入策(QE)を100億ドル縮小することを決定した。声明では極めて緩和的な政策が引き続き適切でQE終了後も相当な期間、低金利継続の可能性が高いとの文言を繰り返した。最近のインフレの上昇にもかかわらず、「インフレは引き続き目標を下回る」との判断を維持。前回4月の声明から内容の変更はほぼなく、市場が予想したような早期の利上げを示唆する文言は見られなかった。

FOMCは緩和的な方針を維持する一方、政策の正常化に向けた準備をしている。イエレンFRB議長は年内には政策正常化の具体策を提示することを明らかにした。

■FOMC、イエレンFRB議長会見5つのポイント:

1)最初の利上げのタイミング

FOMCメンバーの見通しで2014年の経済成長率見通しが下方修正されたが、PCE(個人消費支出)見通しやFF金利誘導目標見通しは引き上げられており、メンバーの利上げ見通しは若干早まったことになる。

2)雇用、インフレの見通し

FOMCメンバーによる見通しで14年末の失業率は6.0-6.1%(3月6.1-6.3%か)、15年末5.4-5.7%(5.6-5.9%)へそれぞれ下方修正された。イエレンFRB議長は会見において長期失業者の増加が労働市場の回復を抑制しているとの見方を示した。

FOMCのPCE(個人消費支出)見通しは2014年1.5-1.7%(3月1.5-1.6%)に引き上げられた。2015年は1.5-2.0%で変わらず。2016年は1.6-2.0%(3月1.7-2.0%)へ引き下げられた。

3)成長見通しの下方修正

四半期ごとに発表されるメンバーの見通しで、2014年の国内総生産(GDP)は2.1-2.3%増と、3月時点の2.8-3.0%増から下方修正されたほか、長期見通しも2.1-2.3%増へ、3月の2.2-2.3%増から下方修正された。15年度の成長率は3.0-3.2%増に据え置かれた。

4)FRBのドットチャート

イエレンFRB議長はメンバーの意見の相違が示されているとの見方を明らかにした。メンバーによる政策金利であるFF金利誘導目標の見通しは15年末1.13%(3月1%)、16年末2.5%(2.25%)とそれぞれ引き上げられた。

5)イエレンFRB議長の2回目の記者会見

消費者物価指数の予想以上の上昇に対し、イエレンFRB議長は「インフレは最近高い」としながらも「我々が見ている指標は余分な要素が多い」と重要視しなかった。「インフレは引き続きFRBの目標をかなり下回っている」との判断を維持し、さらに、「FRBはインフレ目標を達成前に完全雇用目標を達成する可能性がある」との見方を示した。イエレンFRB議長は賃金動向に特に注視していることがうかがえる。FRBの注目するインフレ指標であるPCE(個人消費支出)は前年比で1.6%と、まだ2%目標を下振れたまま。

《KO》

 提供:フィスコ

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