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【特集】エレマテックResearch Memo(4):豊田通商の「化学品・エレクトロニクス本部」の中核子会社


■会社概要

(3)企業グループ

エレマテック<2715>は2012年3月に、株式公開買付けを通じて、豊田通商の連結子会社となった。以来、同社は豊田通商の「化学品・エレクトロニクス本部」に組み込まれ、同本部内の中核子会社の1つとして機能している。

豊田通商は、2006年にトーメン合併したのを契機に、既にトーメンエレクトロニクス<7558>、トーメンデバイス<2737>の上場子会社2社を始め、豊通ケミプラスなどの商社を化学品・エレクトロニクス本部の中に抱えていた。それにも拘わらず、エレマテックを子会社化した理由は、エレマテックの中心的な事業領域が、トーメンデバイスなど既存の子会社の事業領域との重複が少なかったためと思われる。DRAMを例にとれば、エレマテックはDRAMメーカーに半導体封止材やリードフレーム、ボンディングワイヤなどを販売している。DRAM自体の扱いは少ないが、トーメンデバイスは半導体チップの取扱商社の大手で、明確に棲み分けができているという状況だ。液晶パネルについても同様で、エレマテックは液晶パネルメーカーにガラス板や光学フィルムなどの部材を供給するが、完成したパネルは扱っていない。一方、トーメンデバイスは液晶パネルをセットメーカーに販売しているといった具合だ。

したがって、豊田通商の子会社になったことで、同じグループ内の兄弟企業との競合や、シナジー効果の不発といった状況は、少なくとも現状のなかでは、懸念する必要性は小さいと言えよう。ただし、将来的にエレマテックが取扱品目や事業領域を川上や川下、あるいは水平展開しようとする場合に、兄弟会社間でコンフリクトが生じたり調整が必要となったりして、活動に制約を受ける可能性は考えられよう。

エレマテック自身は、国内外に21の子会社を擁している。国内子会社のエレマテックロジサーブは国内における加工や物流を担っている。海外子会社は基本的には各国における販売会社で、エレマテック本体もしくは外部のメーカーから商品を仕入れて各国・地域の顧客に販売している。若干毛色が異なるのが、中国の大連と無錫にある2つの加工会社だ。顧客からの加工依頼にスピーディに対応するための機能として設立したもので、基板実装や切削加工などの作業について顧客の依頼に柔軟に応じられる体制を取っている。同社は生産拠点・自社ブランドを有せずに商社に徹することを基本方針としているが、大連と無錫の工場はあくまで顧客サービスのための加工工場ということで、同社の基本方針とは矛盾しないと言えよう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《FA》

 提供:フィスコ

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