【経済】人手不足深刻化で外食アルバイト時給の上昇とまらず
外食産業のアルバイトの人手不足が深刻化しており、牛丼チェーン店「すき家」を展開するゼンショーホールディングス(HD)<7550>は、最高水準となる「深夜時給1500円」を提示した。
「深夜時給1500円」を提示したのは、原発事故を起こした東京電力福島第一原発から約25キロメートル離れた福島県南相馬市原町区日の出町の国道6号沿いにある24時間営業の「すき家原町店」で、4月25日「アルバイト募集 時給1200~1500円」の張り紙が貼られた。
ゼンショーHDによると、震災3か月後の営業再開時は時給830~1050円だったが、アルバイトの応募者が集まらず時給が上がり続けているという。
主な原因として、働き手の中心だった若者や主婦層が放射線の影響を懸念して市外に避難・転出したことに加え、復興事業の本格化が重なったことが挙げられる。
しかし、今、人手不足の問題は福島県に限ったことではない。
都内などの「すき家」でも2月以降、約250店が人手不足のため一時休業や営業時間短縮に追い込まれ話題となった。
景気回復に伴い外食店の来客数が増加傾向にある中、近年の少子化によりアルバイトの主力となる若者人口が減少していることや、外食産業のアルバイトはきついと思っている若者が多くなっていることから、人員確保が難しくなってきているのだ。
リクルートジョブズが2014年3月20日に発表した首都圏、東海、関西の「3大都市圏」における2014年3月度の募集時平均時給は、前年同月比6円増の948円と9カ月連続で前年を上回っており、外食産業のアルバイトの時給が確実に上がっていることが分かる。
しかし、時給を上げるだけではアルバイトが集まらないという現状が見えてくる。
競業他社との競争に勝ち生き残るために新規出店を加速するだけでなく、労働条件、勤務体制を改善し、働く人にも魅力ある職場づくりに努めることも必要だろう。
《YU》
提供:フィスコ