【市況】国内株式市場見通し:需給懸念くすぶる、決算を手掛かりに日替わり物色に
■モメンタム・ストックの不安定な値動き
日経平均は不安定な相場展開が続いている。連休の谷間にあたる前週(4月28日-5月2日)は、ウクライナ情勢の緊迫化を背景に売りが先行した。しかし、その後は法人税率引き下げに関して閣僚の発言などが相次いだほか、先物市場でゴールドマン・サックスによる買いが観測されるなかで意外高をみていた。
しかし、連休明け7日の日経平均は400円を超える大幅な下げになるなど、波乱の展開。ドイツ証券がTOPIX先物を大量に売り越したことによる需給要因が大きく影響したが、とりわけ指数インパクトの大きいソフトバンク<9984>が急落する中、投資家のセンチメントも冷まされた格好となっている。
また、米国ではモメンタム・ストックの不安定な値動きが続いており、この流れがソフトバンクをはじめ、新興市場の中小型株の需給面にも影響を与えているとも考えられる。日経平均は14000円近辺での底堅さが意識されるなか、マザーズ指数は終値ベースで安値更新と、不安感のくすぶる相場展開だった。
■今週も決算発表がメイン材料
決算発表が本格化する中で方向感が掴みづらい状況が続き、物色の流れは好決算のほか自社株取得、増配といった株主還元策を発表した企業などに資金が集中する展開となっている。今週も決算発表がメイン材料となるなか、個別対応での物色に向かわせよう。足元で不安定な値動きが続いていることもあり、業績内容や自社株取得や増配といった株主還元策などを手掛かりに急動意をみせてくる銘柄が増えてくると考えられる。
とはいえ、決算材料に事欠かない状況であり、物色の流れも日替わり的になるだろう。資金の逃げ足も速いため、大きく調整しているとは言え、資金回転は早くしたいところである。また、中小型株についてはモメンタム株の動向も見極める必要があり、オーバーシュート気味の下げであっても、押し目拾いは慎重。また、調整局面では米ファンドの決算に絡んだ商いなども意識されやすいだろう。
■トヨタのリバウンド持続なるか
決算では、先週末だけでも500社を超えているため、週初はこれら企業の株価反応を見極めるところから始まる格好になる。先週注目されていたトヨタ<7203>は、今期計画がコンセンサスを下回ったとして売りが先行するものの、その後はショートカバーの流れが強まっていた。これまでもトヨタ<7203>の決算タイミングで相場の転換が意識されたこともあり、リバウンドの動きが継続するかが注目されよう。今週はソニー<6758>、日立<6501>、シャープ<6753>、住友不<8830>、三井不<8801>、日産自<7201>、NTT<9432>などや、三菱UFJ<8306>などメガバンクが予定されている。
そのほか、ウクライナ情勢ではロシアのプーチン大統領の要請を無視し、ウクライナ東部で親ロシア派が11日に住民投票を予定通り実施する見通しとなっている。ウクライナ情勢が緊迫する局面では、先物主導による売り仕掛け的な流れに向かいやすいだろう。
■日経平均14000円接近で要人発言も
ただ、日経平均の14000円処でのボトム意識は相当強いとみられる。4月の14000円割れの局面では、「GPIFが6月から動くので外人投資家が動く可能性」との財務相発言がキッカケにリバウンドをみせていた。連休谷間の不安定な時には法人税率引き下げに関しての閣僚発言がリバウンドに向かわせていた。今後は6月発表予定の成長戦略への期待感も高まりやすく、日経平均の14000円接近では主力大型株を中心に押し目拾いを意識しておきたい。中小型株については、米モメンタム株やソフトバンクの明確な底打ちを見極める必要がある。
そのほか、経済指標では4月の景気ウォッチャー(12日)、4月の企業物価指数(13日)、4月の工作機械受注(14日)、4月の中古車販売、1-3月国内総生産(15日)などが予定されている。米国では、4月の小売売上高(13日)、4月の鉱工業生産(15日)、4月の設備稼働率などが予定されている。
《TN》
提供:フィスコ