【経済】【中国から探る日本株】アリババのIPOでソフトバンクの発言権は「有名無実化」か
中国の電子商取引大手アリババ・グループは米国時間6日、米証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)の申請書を提出した。申請書類によれば、IPO前の株式保有比率はソフトバンク<9984>が34.4%で最大となっている。ただ、IPO後には馬雲(ジャック・マー)会長など創業者らの実質支配権が強化され、ソフトバンクの発言権は「有名無実化」するとの見方が示されている。
中国のIT情報サイト「TechWeb」が外電を引用する形で報じたもので、アリババのIPOに際し、大株主であるソフトバンクと米ヤフーは、馬会長などと取締役の決定に関する取り決めを結ぶ予定。それによると、ソフトバンクはアリババ株を15%以上保有する限り、取締役1人を指名する権利を維持するが、解任に当たっては、馬会長と共同創業者である蔡崇信(ジョー・ツァイ)氏の同意が必要になるという。
IPO前の株式保有比率は、ソフトバンクが34.4%、米ヤフーが22.6%、馬会長が8.9%、蔡氏が3.6%となっている。今回の申請書類では、同社が採用する「パートナー制度」の内容も明らかにされた。「パートナー」と呼ばれる28人のメンバーが取締役の大半を指名する権利を持つ構造で、これによって馬会長を含む経営陣が実質的に会社を統治する構造となっている。
なお、馬会長は社員宛てに送付したメールの中で、IPO申請は同社が新たな「挑戦の時代」に突入したことを意味すると指摘。ただ、上場そのものが目標なのではなく、自己の使命を実現するための重要な戦略であり、手段の一つだと強調した。また、上場後も「顧客第一、従業員第二、株主第三」との“顧客最優先”原則を維持する方針を示している。
《NT》
提供:フィスコ