【市況】新興市場見通し:HFT規制強化に対する懸念、ソフトバンクの動きに注目
先週の新興市場は、外部環境の悪化による日経平均の大幅下落や米モメンタム銘柄の急落が嫌気され、調整色の強まる展開となった。週初は米3月雇用統計後の米国株の下落、対ドル、ユーロでの円高進行が逆風に。また、米国市場では、ネット関連やバイオ関連などのモメンタム銘柄が値を崩し、国内でも個人投資家の取引比率の高いソフトバンク<9984>が大幅下落となったことでマインドが大きく悪化する格好にも。週間の騰落率は、日経平均が-7.3%であったのに対して、マザーズ指数は-9.8%、日経ジャスダック平均は-3.8%だった。なお、マザーズ指数は週末まで7日続落。
個別では、サイバーエージ<4751>やコロプラ<3668>、ガンホー<3765>、Dガレージ<4819>など、主力のネット関連が総じて軟調だった。また、タカラバイオ<4974>やカイオム<4583>、PD<4587>、ナノキャリア<4571>など、バイオ関連も換金売りに押された。その他、直近で賑わいを見せていた日本通信<9424>も、信用取引規制の強化を受けて換金売りが膨らんだ。一方、DLE<3686>は値動きの軽い直近IPO銘柄として短期資金による物色が継続し、売買代金はマザーズ市場において連日でトップとなった。また、UMN<4585>は、野村が投資判断「バイ」、目標株価3800円でカバレッジを開始したことが材料視された。なお、8日に上場したトレックス・セミコンダクター<6616>と丸和運輸機関<9090>の初値は揃って公開価格を割り込んだ。
今週の新興市場は、個人投資家のマインドが悪化する中で、下値模索の展開となりそうだ。先週末の米国市場では引き続き、ネット関連やバイオ関連など、モメンタム銘柄の下落が続いており心理的な重しとなるだろう。米国におけるモメンタム銘柄の下落については、超高速取引(HFT)への規制強化に対する懸念が背景とみられ、当面はボラタイルな動きが続く公算。そのため、国内でもネット関連の中小型株などには押し目買いムードが強まりづらいとみられる。先週末のマザーズ市場の売買代金は約830億円と非常に低調な水準に留まっており、押し目買い意欲は乏しい展開が続くだろう。とりわけ、新興市場の中小型株との連動性が高いソフトバンク<9984>が下値模索となっており、目先は同社の底入れが待たれる。
個別では、値動きの軽いテーマ材料株や好決算を発表した個別株の物色が中心となりそうだ。先週はマザーズ市場でDLE<3686>が連日で上値追いとなり賑わいを見せたほか、週末にはクルーズ<2138>が急伸となった。地合いが悪く物色に広がりが期待しづらい中で、値動きが軽く売買が賑わう銘柄に短期資金が集中する傾向が続くだろう。また、先週末には好決算を発表した竹内製作<6432>が悪地合いの中でも逆行高となっており、好決算銘柄には押し目買いの動きも。
一方、主力のネット関連株については、米ネット関連株の下落が続く中で厳しい環境が想定される。ただし、米国では15日のヤフーを皮切りにネット関連株の決算発表がスタートするため、決算内容を手掛かりに持ち直しの動きも期待されるところ。なお、今週は18日にジョイフル本田<3191>が東証1部市場へ上場する。先週も2社の初値が公開価格を相次いで割り込むなど、やや厳しい初値形成も想定しておきたい。
《TN》
提供:フィスコ