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【市況】【北浜流一郎の乱にチャンスあり!】


「薄らぐ7つのマイナス材料」

●基調は1万6320円奪還を目指す

 この時期になると、毎年必ず改めて読み返す俳句がある。

 「春風や 闘志抱きて 丘に立つ」

 高浜虚子の句で、春風に吹かれながら颯爽とした姿で丘の上から遠くを見下ろす男の姿が、目の前に浮かぶのだ。実際に近くに丘があるなら、そこへ行って立ちたいところだが、残念ながらそれはなく、ただ気持ちの上だけで虚子の気分を味わうしかないが、それでも投資意欲が湧いてくる。ぜひ、あなたも口ずさんでみて下さい。元気が出ます。

 幸い、東京市場は、年初から3ヵ月も続いた下降相場に終止符を打った。上からのしかかり、足を引っ張り続けてきた7つのマイナス材料が次々とその影響力を失いつつあるからだ。

 7つのマイナス材料とは、(1)新興国通貨の暴落懸念、(2)米国の寒波による同国経済の停滞、(3)中国の「影の銀行」をはじめとする金融機関の破綻懸念、(4)米国の量的金融緩和の縮小実施、(5)日本の消費税引き上げ実施、(6)ウクライナ問題、(7)米国の先行き利上げ予告。

 こんなにもマイナス材料があったのだ。これらのすべてが解消したわけではない。しかし、米国の寒波は和らぎ、日本の消費税はすでに引き上げ実施となった。ウクライナ問題はまだ解決にはほど遠い状況ながら、いまのところロシアがウクライナに侵攻する確率は非常に低くなっている。

 一方で相変わらず中国の金融機関の破綻懸念や米国の量的金融緩和の縮小は続いているし、先行き利上げも実施されるだろう。

 それでもマイナス材料の半分ほどがそのウエイトを減らすか、消えてなくなったのだ。当然、投資はしやすくなっており、実際、日経平均株価は目先の目標水準だった1万5000円台に戻った。

 このような場合、大抵はまた1万5000円を割り込むものなので、このまま素直に1万6000円を目指すとはなりにくいものの、基調は昨年暮れに付けた1万6320円の奪還に向かっている。こう見てよい状況だ。

●消費増税は織り込み済み

 消費税引き上げ実施により、今後経済が失速する恐れがあるのに、そんなふうに上昇が見込めるのか。こう疑問をお持ちだろう。

 確かに、4月1日発表された3月調べの日銀短観では、大企業製造業業況判断指数DIが、今回発表分はプラス17ポイントだったものの、3ヵ月後の予想値はプラス8ポイントに急減するだろうとのことであった。実際にそうなってしまう確率は高いと見てよいだろう。

 しかし、幸いなことに、それはすでに株価に織り込まれている。こう見てよいのだ。消費税が引き上げられたら経済は悪化する。これは株式投資をしていない人の間でさえ、いまや常識だ。投資をしている人にとっては、当然過ぎるほど当然であり、新鮮味のない予想になるため、ここから敢えて「消費税引き上げ実施→経済失速→株は売り」なんて行動をとる人は、皆無ではないものの、ごく例外となってしまう。

 この材料ではすでに株は売られてしまった。こういうことになり、景気が少々悪化しても株式市場にはさほど影響しない。こう見てよいだろう。

 それに現在の東京市場が最も関心を持っているのは、国内経済ではない。米国経済だ。その長期的成長と繁栄に期待しているのであり、この点に異変が生じない限り、日本株の多くも続伸する。こういえる。

 それだけに、政府が先月28日発表した国家戦略特区の指定を受けた6地域に関わる銘柄などは押し目を見逃さないようにしたいものだ。

 そこで、注目はまずは特区関連銘柄の中から、医療関連ではシップHD <3360> 、日本光電 <6849> 、シスメックス <6869> 、農業関連ではクボタ <6326> 、やまびこ <6250> 、雇用イノベーションではアウトソシン <2427> 、沖縄観光リゾート関連では沖縄銀 <8397> などが魅力的だ。

 特区に特に関わりのない銘柄にも目を向けておくと、引き続きミネベア <6479> 、ダイフク <6383> 、そしてライト <1926> 。新たにはあいHD <3076> の押し目を。

2014年4月4日 記

「チャートブック日足集」No.1514より転載
(「株探」編集部)

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