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【経済】ウクライナ問題の火種くすぶる、ロシアがセバストポリ租借協定を破棄


国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は2日、ワシントンでの講演で、ウクライナを巡る米欧とロシアとの対立が世界経済に脅威を与える可能性を警告した。

専務理事は米国と欧州連合(EU)、ロシアとの関係が「とても順調とは言えない」と発言。地政学的な緊張の高まりが先進国で極めて低いインフレを長期化させるリスクがあるほか、新興国市場ではボラティリティ(変動率)が高まり、引いては世界の景気見通しを不透明にするとの懸念を示した。

こうした中、ロシアのプーチン大統領は2日、黒海艦隊の停泊するクリミア半島・セバストポリについて、ウクライナと結んだ租借協定を破棄する法律に署名した。

棄却されたのは1997年に結ばれた3つの合意で、ここでは2017年までセバストポリに艦隊基地を置くことが明記。また、2010年に締結された、租借期間を2042年まで延長する契約も同時に破棄された。

これら合意書では駐留できるロシア軍隊の上限が2万5000人に定められていたほか、ロシアが配備できる軍艦や戦闘機の種類などが細かく制限されていた。これが破棄されたことでロシアがクリミア半島での軍事プレゼンスを強める可能性が高まり、西側諸国との新たな対立の火種になると警戒されている。

なお、2日のロシア金融市場では株式と債券価格、外国為替が同時に下落する「トリプル安」を演出。

ロシアのシルアノフ財務相はこの日、政府系投資ファンド向けの外貨購入を数日内に再開すると発言したが、これがルーブル売り・外貨買いの加速観測を強めてロシア通貨が売られた可能性が高い。

また、ロシア政府が実施した国債入札では応札額が77億3000万ルーブル(約226億7100万円)にとどまった。予定額を200億ルーブル下回ったことになり、ロシア国債投資への警戒感も依然としてくすぶっている。

《RS》

 提供:フィスコ

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