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【経済】【中国から探る日本株】ネット金融への締め付け強化、アリババは上場の「最良時期」逃す?


中国で急成長しているインターネット金融に対し、政府や銀行からの締め付けが強まっている。26日付の報道によると、国有最大手の中国工商銀行がアリババ・グループの一部決済サービスについて、浙江省の支店以外での取り扱いを停止した。その他の銀行も利用上限の引き下げに動いているという。

今回の締め付けの対象となったのは、アリババの決済子会社「支付宝(アリペイ)」の銀行引き落としサービス「快速支付」。スマートフォンの普及やネット通販市場の拡大を背景に利用額が大幅に伸びている。アリババについては、アリペイと連動した電子マネー投信「余額宝」の利用者も急増しており、銀行側は預金の流出を警戒している。

また、今月半ばには、中国人民銀行(中央銀行)がアリババとテンセントの2大インターネット会社に対し、バーチャルクレジットカード業務とQRコード決済業務を一時停止するよう通達したと報じられた。政府は今後、ネット金融への監督を強化し、管理規定を打ち出すとみられている。

ネット金融を巡る環境が足元で大きく変化する中、中国では、アリババが新規株式公開(IPO)の「最良のタイミング逃した」との声も聞かれる。アリババの企業価値においては、ネット通販サイト「淘宝(タオバオ)」と「天猫(Tモール)」が大部分を占めるが、これら事業の決済を担うアリペイへの締め付けは今後の減速リスクとなるためだ。ネット金融事業本体についても、規制強化でこれまでのような急成長は期待できないとの見方がある。

こうした経営環境の中でバリュエーションの見直しが進む可能性があり、実際に香港市場に上場するテンセントは、足元で株価が大きく調整している。アリババについては、ネット通販事業の成長性などに依然として期待感が強いものの、ネット金融を巡る政策動向が不安材料として意識され始めている。

《NT》

 提供:フィスコ

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