【市況】【北浜流一郎の乱にチャンスあり!】
「投資の本道」を再確認!
●地政学リスクの影響は短期的
地政学リスク。久しぶりにこの言葉を意識せざるを得ない日々だ。ウクライナの政権交代による混乱で、欧米とロシアとの関係が急速に悪化、世界の金融市場も懸念売りに見舞われている最中だ。
しかし、この種の地政学リスクは、一時的な衝撃度は大きいものの、継続性という点ではさほど長く続くものではない。
今回もたまたま(1)ウクライナ南部のクリミア自治区で16日にロシアへの帰属問題を問う住民投票が行われる、(2)同日、ソチ冬季パラリンピックが終わる。これらが重なることで、ロシアのプーチン大統領が欧米の制裁に対して強硬策に出るのではないか。そうなると状況は一層悪化、世界は冷戦時代に逆戻りする――こんな懸念から東京市場に至っては全面売りとなってしまっている。
プーチン大統領は強硬策に出るだろうか。すでにロシアはクリミア半島を実効支配しているのだ。当面はクリミアを独立させ、時間をかけてロシアへ帰属させる方向だろう。その場合、敢えて欧米と事を構える必要はない。ロシア式に時間をかけ、世界があまり関心を持たなくなるのを待つと見てよい。
市場はそれにどんな反応をするか。市場とは常に目先のエキセントリックな材料に反応するものなので、それがなければ他の材料、たとえば中国の「影の銀行」問題などに関心を向けてしまい、ウクライナ+クリミア問題は、極論するなら忘れてしまうことさえあり得る。
●収益好転向上力に着目
このような観点からは、いまはやはり重視すべきは日本企業の収益好転向上力になる。
現在の東京市場は、基本的には2月5日に底を打ち、回復途上にある。この流れはいまも変わっていない。もちろん、だからといって毎日上がり続けるわけではなく、今回のように時々は下げる。しかし、大事なのはトレンドだ。それは前述したように2月5日を底に小刻みな波動を描きながら上向き続けている。
それはNY市場も同じで、指標であるNYダウは日経平均よりもはるかに安定した上昇ぶりとなっている。それに比べて日経平均が不安定な上昇ぶりなのは、対ドル円が上昇し続けているからだ。この点はもちろん懸念材料ながら、個別に上がる銘柄がいくらでもあるので、特に問題はない。
よく市場では、「木を見ず、森を見よ」といわれるが、私にいわせると「森よりも木を見よ」となる。
森の状況を教えてくれる日経平均やTOPIXなどはもちろん無視はできない。しかし、いまは幸いなことに、それらが下落基調を続けたとしても、逆行高する銘柄がある。
それらのほとんどは収益好転向上銘柄であり、しかも、来期(15年3月期)までそれが続く見込みとなっている。
つまり、目先に地政学リスクや中国の「影の銀行」破綻懸念などの気掛かり材料があっても、収益を伸ばし続けられる潜在成長力を持つ企業があり、それらの
株価は今後も浮上を続ける確率が高い。
それに米国の厳しかった寒波も日に日に和らぎつつある。国内でも私が住む横浜は大分寒気が緩んできているが、米国の主要都市であるNYやシカゴなどは、まだかなり気温が低い。
なにしろ両都市の緯度は、NYが青森と、シカゴは函館とほぼ同じだ。東京や横浜とは比較にならないほど寒くて当然だが、それでも最低気温が0度を越える日が多くなっている。寒気が次第に緩んでいるのであり、今後それは経済の活発化につながる。
そして嬉しいことに、それはドル買い円売り要因になる。だからといって、すぐに円が105円台に下落などということはないものの、ウクライナや中国から吹いて来るあり難くない風で「投資の本道=収益の好転向上力のある企業の株価は上がる」ということを忘れないようにしたい。
そこで、いまはそんな銘柄も売り込まれて反落中なので、ここでしっかり拾っておきたい。
具体的には極小ベアリング、スマホ向けLEDバックライトが好調なミネベア <6479> 、倉庫の貨物運搬・管理システムに強いダイフク <6383> 、ネット商店の決済システムで先行するGMO-PG <3769> 、医家向け医薬品情報提供サイト「MR君」の利用拡大が続くエムスリー <2413> 、そして「ZOZOTOWN」運営のスタートトゥ <3092> が魅力的だ。
2014年3月14日 記
「チャートブック週足集」No.1965より転載
(「株探」編集部)