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【経済】NYの視点:来週の米FOMCではQE縮小継続か


米上院銀行委員会はフィッシャー氏(連邦公開市場委員会(FOMC)副議長)、パウエル氏(FRB理事)、ブレイナード氏(FRB理事)の指名公聴会を開催した。証言では3者とも、現在、FRBが実施している量的緩和第3弾(QE3)策を各会合で100億ドル縮小する方針を支持する姿勢が示された。

FRBは利上げを検討する目安となる数値ガイダンスを設定している。失業率が6.7%と数値ガイダンスの6.5%目前まで低下したため、このガイダンスは「もはや役に立たない」との発言がほとんどのFOMCメンバーから出ている。イエレンFRB議長が率いるFOMCは次回18-19日に開催される会合C、このフォワードガイダンスに焦点をあてると見られる。一部のメンバーが提唱している量的ガイダンスから質的ガイダンスに移行することなどが協議されると予想される。

今後は、将来の金融政策の市場への明確な伝達を重要視しているイエレンFRB議長と、フォワードガイダンスに懐疑的見方を示している新たにメンバーに加わるフィッシャー次期FRB副議長がどのように歩み寄っていくかに注目される。スタンレー・フィッシャー次期FRB副議長は上院銀行委員会の承認公聴会での証言原稿の中で、失業率が高すぎるため金融緩和の継続が必要だと強調した。タカ派として知られる次期副議長は米国経済に関する判断も「6.7%の失業率は依然高すぎ、経済はここ最近著しく前進したがまだ正常化していない」と慎重気味。

米国商務省が発表した1月の企業在庫は前月比0.4%増と予想通り昨年12月の0.5%増から伸びが鈍化した。また、企業売上高は0.9%減と、12月の0.1%減から大幅に悪化。悪化幅は13年3月以来で最大となった。また、売上高在庫比率は1.32ヶ月と、2009年10月以来で最高となり販売が滞っている証拠となった。

2月の小売売上高は前月比0.3%増と予想の0.2%増を上回り3カ月ぶりのプラスに改善したものの1月分の大幅な下方修正が相殺。国内総生産(GDP)の算出に使用される食品サービス、自動車、ガソリンスタンドでの売り上げを除いたコアの小売売上高も0.3%増と予想の0.2%増を上回った一方で、1月分は0.3%減から0.6%減、昨年12月分も0.1%増から0.2%減にそれぞれ下方修正された。このため、1-3月期の小売は予想を下回る可能性が出てきた。2月の輸入物価指数は前月比で予想を上回り昨年2月以来で最高となったものの前年比では5カ月連続のマイナス。

この結果を受けて、バークレイズ銀のエコノミストは米国の1-3月期国内総生産(GDP)見通しを当初の2.3%から2.2%へ引き下げ。続いてゴールドマンサックスも1.7%から、年初予想3.0%の半分となる1.5%まで引き下げた。

ただ、米国経済はFRBが量的緩和第3弾(QE3)縮小のペースを変更するほどの水準ではないと考えられ、3月のFOMCでも各月の資産購入額が現在の650億ドルから550億ドルに縮小される可能性が強い。

《KO》

 提供:フィスコ

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