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【市況】為替週間見通し:日本銀行の金融政策決定会合とクリミア住民投票が要注目


■ドル・円強含み、ウクライナ情勢の緊張度低下や米雇用統計の改善などを意識

先週のドル・円は強含み、101円20銭から103円76銭まで上昇した。ウクライナへのロシア軍の軍事介入がひとまず回避されたこと、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用について厚労省は「GPIF運用目標は賃金上昇率基準に、国内債中心求めず」との草案を提出したこと、7日に発表された2月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったことなどが、ドル上昇の要因となった。先週のドル・円の取引レンジは、101円20銭から103円76銭となった。

■日本銀行金融政策決定会合とクリミア住民投票に要注目

今週のドル・円は、日本銀行金融政策決定会合での異次元の量的・質的金融緩和第2弾の可能性、全国人民代表大会閉幕後の中国人民元許容変動幅の拡大の可能性、クリミア自治共和国の住民投票などを見極める展開となる。

■日本銀行金融政策決定会合(10-11日)

4月からの消費増税に向けて、異次元の量的・質的金融緩和第2弾の可能性が高まっている。10日に発表される日本の10-12月期の国内総生産(GDP)改定値が下方修正された場合、アベノミクスの「第3の矢」が不調であり、「第4の矢」と目される環太平洋経済連携協定(TPP)交渉も難航していることで、第2弾への期待感が高まっている。

■全国人民代表大会

中国人民銀行は、全国人民代表大会の開催前に、米ドル買い・中国人民元売りの「非不胎化」為替介入により、中国人民元安誘導を行った。全国人民代表大会の閉幕後に、中国人民元の許容変動幅拡大(1%から2%へ)が発表されるとの観測が浮上しており、要注目か。

■フィッシャーFRB副議長の指名公聴会(13日)

米上院銀行委員会で、フィッシャー氏(FRB副議長)、パウエル氏(FRB理事)、ブレイナード氏(FRB理事)の指名公聴会が開催される。フィッシャー氏は、フォワードガイダンス(将来の金融政策指針)に対して否定的な見解を持つタカ派と見なされており、フィッシャーFRB副議長の誕生は、年内のテーパリング(量的緩和縮小)終了、そして2015年半ばと予想されている利上げ時期の前倒し観測を高めることになる。

■クリミア自治共和国の住民投票(16日)

クリミア自治共和国は、16日に、ロシア連邦への編入の是非、ウクライナへの帰属を定めた1992年憲法を支持するかを問う住民投票を実施する。住民投票では、ロシア連邦への編入が支持されることが見込まれており、ウクライナに対する国際通貨基金(IMF)や欧州連合(EU)による金融支援、ロシアによる軍事侵攻の可能性などを見極めていく展開となる。

■リパトリ(外貨建て資産売却・円買い)

3月期末決算に向けた本邦機関投資家によるリパトリ(外貨建て資産売却・円買い)により円買い圧力が強まることが予想される。

主な発表予定は、10日(月):(日)10-12月期国内総生産改定値、12日(水):(日)2月国内企業物価指数、(米)2月財政収支、13日(木):(日)1月機械受注、(米)1月企業在庫。


[予想レンジ]
ドル・円100円00銭-105円00銭

《TN》

 提供:フィスコ

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