【経済】中国人民銀行が近く変動幅拡大か、人民元安は豪ドルなどに影響大
外国為替相場では中国人民元の下落が顕著になっている。この背景として4大国有銀行などによる不動産融資の貸し渋り、主要企業の業績不安などが列挙されているが、最も可能性が高いのが「中国人民銀行(中央銀行)が人民元の自由化に向けて許容変動幅を拡大する地ならし」という説だろう。
香港を通じて取引されるオフショア人民元(CNH)と本土内部のオンショア人民元(CNY)との格差は2010年以来の大きさに広がっており、人民銀行が投機筋のキャリートレードを抑制するため意図的に人民元を引き下げている可能性がある。
また、人民元相場は「買い一辺倒(ロングオンリー)」のポジションが積み上がっているが、ショート(売り)に誘導することで人民元相場のボラティリティ(変動率)を拡げようとする人民銀行の意図も垣間見える。
なお、市場関係者からも近く人民銀行が変動幅を拡大するとの見方が強まっている。オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)は数週間内に人民元の許容変動幅を2%に拡大させる公算が大きいと指摘。タイミングは来月5日の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)後の3月上旬から4月上旬までに実施されると読んでいる。
また、ANZは人民元の一段安がシンガポール・ドルやマレーシア・リンギ、豪ドル、ニュージーランド・ドルなど相関性の強い通貨に影響すると分析している。
《RS》
提供:フィスコ