【経済】【中国から探る日本株】中国の13年新造船受注が急増、日中韓の三つ巴競争は白熱化へ
長らく苦境に陥っていた中国の造船業界だが、足元では底打ちへの期待感が高まりつつある。中国工業情報化部の高官によれば、2013年の新造船受注量は前年比で3.4倍に急増し、世界シェアも47.9%に拡大した。同高官は、造船業界の再編が基本的に完了したとし、国際競争力が大幅に向上したと強調している。
上記のデータは、工業情報化部・設備製造業局の李東副局長が中国中央テレビ(CCTV)の取材に対して明らかにしたもの。李副局長によれば、中国の新造船建造量(完工ベース)、新造船受注量、新造船手持ち工事量はいずれも3年連続で世界首位の座を維持した。
ただ、別のメディアの報道によれば、新造船の受注額ベースでは韓国が引き続きシェアトップをキープしたという。液化天然ガス(LNG)運搬船など高付加価値船舶の受注に注力したことが背景だ。こうした中、中国の造船会社もLNG運搬船の受注を増やすことで収益性の改善を図る考え。先の李副局長によれば、中国のLNG運搬船の手持ち受注は14隻となっている。
シェールガス革命を背景に、LNG運搬船の世界的な需要拡大が期待されている。中国、韓国勢だけでなく、三菱重工業<7011>や川崎重工業<7012>、三井造船<7003>などの日本企業も、円安による輸出競争力の回復を追い風に同分野での受注拡大を狙っており、「三つ巴の競争」は一段と白熱化しそうだ。なお、LNG輸送船の1隻当たり価格は約2億米ドル(約200億円)で、一般的なバルク船の数倍に上る。
《NT》
提供:フィスコ