【経済】【危うい新興国】ウクライナ:第2のアルゼンチンとなるリスク高まる
ウクライナの通貨グリブナが今年に入って急速に下げ足を早め、対米ドルでは約4年ぶりに安値水準に沈んでいる。
また、同国では外貨準備高が減少の一途を辿っており、今月10日に発表される1月の準備高は前回12月の204億1600万米ドルから187億6500万米ドルに縮小すると予想されている。
国際通貨基金(IMF)の統計では、昨年12月末時点の外貨準備高は前年同期比で17.2%減少。昨年11月のモノの輸入総額は64億4810万米ドルで、外貨準備で輸入代金を支払える能力は3.2カ月。1月の外貨準備が予想通り減少した場合にはこれが2.9カ月となり、危険水域とされる3カ月を下回ることになる(12月の輸入額は今月14日に発表される予定)。
米格付け会社フィッチ・レーティングスは、外貨準備の減少とグリブナ下落で同国の金融安定性が損なわれると指摘。また、政治状況も不安定が続いており、ロシア寄りの政府と欧州連合(EU)寄りの民衆との対立が収まる気配はない。
ウクライナのヤヌコビッチ大統領がEUとの自由貿易協定の締結を拒否したことに反発する反政府デモは3カ月目に突入。
ロシアは昨年12月、ウクライナ国債30億米ドルを購入する形で同国を支援する姿勢を明確にしたが、第2回目(トランシェ)の支払いはまだ実行されていない。
また、政府は昨年、国際通貨基金(IMF)との支援交渉も打ち切っており、ロシアだけでなく国際社会からも孤立する可能性が高まっている。
《RS》
提供:フィスコ