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【特集】ダイコク電機 Research Memo(7):デファクトスタンダードとなる製品を複数持つ技術力


■評価ポイントと課題

第2四半期決算の結果と、通期予想から、ダイコク電機<6430>の評価ポイントと課題をまとめる。

評価ポイントは、情報システム事業の収益力が向上したことである。同社は足元の同事業の目標を「売上高30,000百万円、営業利益5,000百万円」を安定して確保できる体制を構築することとしているが、第2四半期までの実績を見ると、2014年3月期の通期予想である売上高31,000百万円、営業利益5,500百万円はほぼ間違いなく達成できそうである。

前年度はCRユニットなどの新製品効果や、パチンコ台の多くのヒット機種に携わる特需があり、会社全体として過去最高の売上高と利益を達成し、目標を初めて達成することができた(売上高31,685百万円、営業利益6,069百万円)が、特需をまったく見込まない2014年3月期においても、この目標をクリアできるめどが付いた。よほどのトラブルが起こらない限り、当面は、この水準を維持し続けられる体制が構築されたと考えてよかろう。

一方、課題に関しては、制御システム事業の不振が挙げられる。これは、パチンコ・パチスロ業界の市場規模が漸減していることが一番の要因である。警察庁の調査によれば、パチンコ・パチスロホールの店舗数は2006年の1万4,674店から毎年、下降線をたどり、2012年には1万2,149店と17.2%も減っている。1店舗当たりの遊技機の設置台数は店舗の大型化により増えているものの、店舗の減少に伴い、全国の設置台数の合計はここ数年、451-459万台程度で推移している。

拡大が見込めない市場で課題を解決するには、他社からシェアを奪う以外にない。同社は、デファクトスタンダードとなるような製品を複数持つなど、技術力には定評があるため、同事業の再構築を推進中である。優れた技術力に構造改革を伴うことで、シェア拡大を図り、市場での生き残りを図っていく。

推進中の構造改革の中身は、(1)OEMであるパチンコ台の部品類に関しては、メーカーと一体になった開発を推進すること、(2)そのための企画・提案力の強化を図ること、(3)映像の高度化などソフトの品質向上を図ること?などである。従来はメーカーから受けた注文をもとに開発者が自分の担当する機器の開発をするだけだったが、現在は、社長の栢森秀行(かやもりひでゆき)氏自らが先導して、事業部内全体でアイデアを出し合い、より良い製品開発ができるようなシステムが整いつつある。また、メーカーから同社、同社からメーカーといった相互の常駐も行うようになっている。同社では、情報システム事業が好調であることから、制御システム事業に関しては、今後も思い切った改革を推進していく方針だ。

また、制御システム事業では、構造改革のほかにパチスロ遊技機への期待がかかる。パチスロ遊技機が安定した収益を上げることができるようになれば、同事業の収益安定にもつながると考えられる。

(執筆:客員アナリスト 柄澤 邦光)

《FA》

 提供:フィスコ

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