市場ニュース

戻る
 

【特集】ダイコク電機 Research Memo(5):2Qは研究開発費の期ズレで利益は期初計画を上回る


■2014年3月期の第2四半期決算

2013年11月11日に発表された2014年3月期第2四半期の連結決算は、売上高が前年同期比6.4%減の25,882百万円、営業利益が同31.0%減の2,487百万円、経常利益が同31.3%減の2,559百万円、当期純利益が同28.7%減の1,543百万円となった。

売上高の減少要因は、情報システム事業においては、前年度にリニューアルされた情報公開機器であるデータロボやCRユニットの新製品効果の反動、制御システム事業においては、パチンコ遊技機のリユース需要増大に伴う部品供給が前年度に急増したことの反動である。

利益の減少要因は、減収による影響に加え、戦略製品ではあるものの、利益率の低いCRユニットなどの売上比率が上昇したことによるもの。売上総利益は8,191百万円と、前年同期比9.9%減少した。さらに、パチスロ遊技機「プリズム・ナナ」の販促費が販売管理費を押し上げたことも大きな要因の1つ。販売管理費は5,704百万円と、前年同期比で3.9%増加した。

ただし、研究開発費の計上が第3四半期以降に期ずれしたため、第2四半期としては、利益面で大幅な上方修正を発表した。

セグメント別の販売を俯瞰すると、情報システム事業に関してはホールコンピュータの販売が90台と、期初計画(通期240台)に比べ37.5%の達成率にとどまっている。反面、CRユニットは3万619台と、期初計画(同5万台)に比べ61.2%、呼び出しランプに関しては、2機種合計で8万6,112台と、期初計画(同15万台)に比べ57.4%の達成率になっている。一見、ホールコンピュータが不振で、周辺機器がそれを補ったかのように見受けられる。

しかし実際は、ホールコンピュータの販売計画は、新規開拓によるものが大きく、ダイコク電機<6430>としては「チャレンジ目標」という位置付けとなっている。ホールコンピュータだけでは売上高に大きな影響を与える商品ではない。むしろ、同社にとって重要なのは、ホールコンピュータの納入によって派生する周辺機器やサービス分野の売上である。

そういう意味では、既存のクライアントは減少しておらず、微増とはいえ、シェアはむしろ拡大している点を評価すべきであろう。実際、ホールの経営支援サービスや、会員制の情報提供サービスといったサービス分野の売上は1,363百万円と、期初計画(同2,910百万円)に比べ46.8%の達成率で順調に推移している。

一方、制御システム事業は、ほぼ計画どおりの進捗となっている。ただ、通期計画が売上高20,000百万円(前期比26.4%減)、営業利益400百万円(同86.3%減)であり、パチンコ・パチスロ業界の厳しい状況を反映した計画となっている。

財務状況は良好である。純資産は利益剰余金が増加したことにより、前期末比1.6%増の30,955百万円となった。負債は同32.8%減の17,655百万円となった。仕入債務と未払法人税が減少したことが要因。有利子負債も同21.2%減の1,000百万円と減少している。この結果、総資産は同14.3%減の48,611百万円、自己資本比率は同10.0ポイント増の63.7%となった。

キャッシュフローも安定している。期末の現金及び現金同等物は、前年同期松比9.0%増の13,218百万円で、実質無借金経営を続けている。

また、同社では年間配当金を1株当たり最低40円とし、業績に応じて「特別配当」という形で上乗せしていくという方針を取っている。2014年第2四半期は、対前年同期比で減益とはなったものの、上方修正を行ったことなどから、中間期に特別配当10円を上乗せし、50円を配当する。配当性向は37.0%となる。

中間期での増配は同社としては異例だが、これは、今年いっぱいで投資で得た利益への軽減税率が期限切れとなることにも配慮したものである。

(執筆:客員アナリスト 柄澤 邦光)

《FA》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均