市場ニュース

戻る
 

【特集】ダイコク電機 Research Memo(4):「マカオゲームショー」に出展、カジノ分野進出も検討


■2014年3月期第2四半期のトピックス

(3)カジノ分野への進出を検討

「すそ野を広げる新規事業の育成」では、カジノ分野への進出調査を始めたことも大きなトピックである。11月にマカオで開催された「マカオゲームショー」の日本ブース内にホールコンピュータをはじめとした情報システムを初めて展示した。

これは、漸減が続くパチンコ市場以外の市場に参入する可能性を探ることが目的。ダイコク電機<6430>によれば、マカオではVIPバカラが収益の9割を占めるが、ミニマムベットが多額になる傾向にある。そのため、少額で誰もが気軽に楽しめるビデオスロットの需要も今後は拡大していくと考えられるという。掛け金が少額のゲームでは、プレーヤーにとっては儲けられるかどうかよりも、ゲームそのものを楽しめるかどうかが大きなカギになる。経営の中枢を担うホールコンピュータをはじめとした同社の情報システム機器は、パチンコホールの収支を管理するだけでなく、お客がどれくらい楽しめたかも分析できる高度な技術を保有していることから、カジノ分野でも事業展開できる可能性があると見ている。

ただ、事業化に関しては、大まかな青写真がある程度で、現在は、カジノに関する社内勉強会を行っている段階である。進出を正式に決めたわけではない。その青写真は、こうである。まず、日本でカジノが解禁されることが確実になった時点で国内のメーカーなどとアライアンスを組み、アライアンス先と共同で情報システム機器をはじめ、ビッグデータの収集・解析・経営指導といったサービスの採用をカジノ経営者に働きかけていく。国内で実績作りを行い、世界標準規格を習得した後に世界へ進出する。

同社の独自の分析では、日本でカジノが解禁になるのは、2020年の東京オリンピック開催後と見ている。また、世界に進出できるのは、日本で事業を開始してから10年以上はかかると見ている。

今回の「マカオゲームショー」への出展は、あくまでカジノ分野に強い興味を持っているということをアピールしただけというのが、同社の基本スタンスであり、青写真も非常に長期的な見通しのもとで作られているといえる。

ちなみに、カジノ分野における同社に関わる市場規模は以下のような試算も成り立つ。

日本ではまず1~2軒程度のカジノホテルができると想定される。その際のカジノの年間売上高は合計で約2,000億円を予想している。パチンコ業界の現状にあてはめ、このうちの4%程度が情報システム機器に支出されるとすると、約80億円程度の市場が見込まれることになる。

しかし、この市場規模ではパチンコ業界の40分の1程度にすぎない。同社が半分のシェアを取ったとしても、40億円程度の年商にしかならない。仮に日本でカジノが解禁になったとしても、当初は収益への貢献に限界があると見られる。

しかし、日本でノウハウを蓄え、世界市場に進出できた場合には、約8兆円と推計される世界のカジノの売上高の4%、3,200億円の市場でビジネスを展開できる。

また、参入障壁に関しては、日本の場合、カジノは初めてできることから既存勢力がおらず、技術力が高く評価されれば、参入のハードルは比較的低いと見ている。

一方、世界市場を見た場合、既存勢力がすでに存在することから、後発企業がいきなりカジノ経営の根幹を担う経営分析コンピュータを納入するのはかなり難しいと予想している。そのため、日本での実績を積んだうえで、提携相手と共同で市場参入を目指す方針となっている。

カジノ分野への本格参入は実現したとしても、まだまだ先のことであり、国内市場だけでは巨額な収益が期待できるわけではない。しかし、パチンコ・パチスロ業界以外のビジネスの模索を始めたという意味で、同社にとっては成長に向けての大きなマイルストーンになるといえるかもしれない。

(執筆:客員アナリスト 柄澤 邦光)

《FA》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均