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【経済】【中国から探る日本株】液晶パネルの輸入関税引き上げか、増産ラッシュ前に国内企業を保護


中国政府は今年下期にも、大型液晶パネルの輸入関税(現行5%)を引き上げ、8%とするもようだ。「上海証券報」(22日付)が報じたもので、京東方科技集団(BOE)やTCL集団など中国大手メーカーの新ラインが今後続々と稼働するのを前に、国内産業を保護する狙いがあるとみられる。

中国では2015年までに、「8.5世代」と呼ばれる最新鋭の大型パネル工場が相次いで稼働する見通しだ。BOEでは、昨年末に合肥(安徽省)の新ラインが運転を開始し、重慶でも工場建設が進行中。TCLの子会社も深セン工場の拡張を進めている。また、今年に入ってからは、BOEが合肥に中国初となる「10世代ライン」を建設するとの計画も伝わっている。

韓国勢も中国での増産を進めているが、国内メーカーは政府の支援を追い風に成長を加速させるとみられている。「上海証券報」によれば、中国の液晶パネル自給率は年内に45%を超える見込み。政府はテレビ用の新型パネル自給率を2015年時点で80%以上へ引き上げる方針を示している。

米調査会社ディスプレーサーチでは、中国の8.5世代パネルの生産能力が2015年10-12月期時点で月産67万枚となり、2013年同期の月産25万枚の2.7倍に急増すると予測している。中国での増産ラッシュを受け、テレビ用など大型パネル市場では供給過剰への懸念も強まっている。

こうした状況下で、台湾大手の友達光電(AUO)はこのほど、崑山(江蘇省)で建設中の8.5世代パネル工場をLTPS(低温ポリシリコン)など中小型パネル向けに変更する計画を明らかにした。その他メーカーもスマートフォン用などで需要拡大が期待される中小型パネルへの移行を進める可能性がある。中小型パネルは、シャープ<6753>などの日本勢がまだ一定の競争力を維持している分野だけに、今後の動向が注目される。

《NT》

 提供:フィスコ

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