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【市況】【北浜流一郎の新興市場展望】 「評価不足の魅力株に注目!」


●逆張りの買いが入り始めた新興市場

 上がっているように見えて実際はさほど上がらないか、下げている。下げているように見えて実際は下がらないか、上げている。株式投資ではこんなことがよく起きる。売買が盛んであれば取引が活況となって上げている銘柄が多いような気がするものの、案外儲からない。こんなこともよく起きてしまう。

 いまは特に東証1部が、こんな状況にあるといえる。年初でもあることから、日々の出来高は昨年暮れより多くなっている。それだけ活況で、多くの銘柄が上がっているように見えるが、実際はそうではない。日経平均株価は乱高下を繰り返し、下落基調が止まっていない。

 それに対して新興市場はどうか。「相変わらずサエないでしょう」という人が結構多いのだが、実際はそうではない。ジャスダック、マザーズともに今年に入って上昇力を取り戻し、ジャスダックに至っては目先上がり過ぎを警戒しなくてはならないほどだ。

 このような違いで分かるのは、個人投資家たちが東証1部の主力銘柄が相当高くなってしまったため、まだ低迷中の新興市場銘柄に逆張りの買いを入れはじめている。こういう構図になる。

 改めて説明するまでもなく、新興市場銘柄は上げも下げも極端だ。それはメリットにもデメリットにもなるわけだが、大きく下げたところで投資する逆張り作戦なら、短期で意外なほど利益を獲得できる。

 いまはそれを狙いはじめた投資家が多くなっていると言ってよい。先日もある準大手証券を訪れたところ、支店長が驚いていた。「最近は、若い投資家じゃなく、意外に高齢の方が、ミクシィとか、アドウェイズ、さらにはアライドアキーテクツなんて上場間もない株でも、買ってくれという注文が結構あるんですよね」と。

 証券マンがなぜ驚くのか。大手や準大手となると、社員たちが関心を持っているのは東証1部銘柄がほとんど。はっきり言って新興銘柄は関心外であり、社名もロクに知らない。こういう会社が多い。それに高齢の顧客が新興市場銘柄を買うのは危ないとの意識が強く、できたら買ってほしくない。こう思っているのだ。

 しかし、お客は買いたいという。もちろん、証券マンは反対できないので注文を取り次ぐが、お客はなぜ新興銘柄に関心を寄せはじめているのか。

●イチかバチかの勝負は御法度

 私も興味を持っていたので、たまたま店頭にいた60歳台と思える投資家さんに聞いてみた。「損してもいいんです。上がると大きいですからね」とのことだった。要するにイチか、バチかの勝負に出ている。こういうことのようであり、納得できないこともないが、やはり賛成はし切れない。

 高齢になると、残り時間が少なくなるのは確かだ。そのため、焦りも生じるだろう。しかし、宝くじや馬券を買う感覚での新興銘柄投資はやはり控えた方がよい。

 「損してもいいんですよ」という言葉には、少々損しても大した影響はない。余裕はあるということが言外に込められていると解釈できるものの、それでもやはり損は小さくが投資の原則だ。

 と、まあ、年初からややこしい話になってしまったが、私が言いたいのは、新興銘柄に夢を持つのは良いものの、イチかバチかの勝負はしない方がよいということだ。

 では、どんなやり方をすればよいのか。収益増予想ながら株価が下げている、つまり評価不足になっている銘柄を探して投資しておく。これになる。

 この観点から新興市場を見回すと、魅力的な銘柄は多数ある。その中から次のような銘柄に注目だ。

 まずは建設現場管理者の派遣に強い夢真HD <2362> [JQ]だ。ゼネコンの人手不足に対応、収益増が続いている。

 私大をはじめ、学校の事務管理ソフト首位のシステムディ <3804> [JQ]も高値からかなり下げて、そろそろ底を打つと見てよく、反発に転じたところで拾っておきたい。

 自動車、航空機用合成皮革に強い第一化成 <4235> [JQ]、ウエハやガラス基板の特殊搬送装置に強いローツェ <6323> [JQ]、船舶向け配電制御システムに強い寺崎電気 <6637> [JQ]なども魅力的だ。

2014年1月17日 記

(月刊「チャートブック新興+2部」No.221より転載 )
(「株探」編集部)

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