市場ニュース

戻る
 

【特集】ハピネット Research Memo(10):3Qも業況は好調、通期予想は上方修正の可能性も


■業績動向

(2)2014年3月期(通期)見通し

2014年3月期(通期)の業績を会社側は表のように、売上高205,000百万円(前年比16.0%増)、営業利益3,400百万円(同14.4%増)、経常利益3,500百万円(同13.6%増)、当期純利益2,000百万円(同0.6%減)と予想している。クリスマス商戦次第という面もあろうが、第2四半期の結果が期初予想を上回ったこと、第3四半期に入っても業況は好調(下記参照)であることから、通期予想が上方修正される可能性もありそうだ。

各事業部門別の下半期の主な施策と現況は以下のようになっている。

(a)玩具事業

売上高は75,000百万円(前年比0.5%増)、営業利益(全社消去前)は2,100百万円(同2.1%増)を予想している。具体的な施策として以下の点に注力する方針だ。

・年末に向けた人気商品の拡販
玩具市場全体は低迷気味だが、依然としてバンダイ製品の人気は高い。このため最大の商戦である10-12月に、主力であるバンダイ製品の売上高を10%伸ばすよう販売努力している。製品別では、仮面ライダー15%増、戦隊シリーズ100%増、プリキュア10%増、アイカツ(今期から発売)に注力しているが、10月以降の出足は好調とのことである。またこれらの製品販売のために、専用什器2,000台を製作して既に主要店舗650店に設置した。

・新たなTVアニメ商品の拡販
コロコロコミックに連載中で大人気(8月1位、9月2位)の「妖怪ウォッチ」が2014年1月からテレビ東京で放映開始となるが、これに合わせてアニメ製品を2014年1月から発売する。当社の持っている「玩具・ゲーム・カプセル玩具」の総合力で販売を支援していく方針だ。

・オリジナル・独占販売商品の展開
今までに発売した「アルティメットハンター」「Newあめdeわたあめ」に加えて、新たに「的中ニャンコ 生き物バージョン」「マイクロチャージャー」を年末に向けて発売する。これらの2商品は「日本おもちゃ大賞2013」2部門で優秀賞を受賞したものであり、売上増、利益寄与が期待される。

(b)映像音楽事業

売上高は41,000百万円(同8.5%減)、営業利益(同)は600百万円(同93.6%増)を予想している。市場全体でのネット販売などが増えると予想されることから、売上高は減少を見込んでいるが、利益率の高い出資製品・独占販売作品の拡販により利益は大幅増を予想している。主な施策は以下の2つ。

・邦画5社共同キャンペーンの実施(レンタル商品)
日本の人口構成では60歳以上の比率が高いが、この世代のレンタル利用は非常に少ない。そこでこれらの「眠れる資源」であるシニア層をもう一度掘り起こし、レンタル市場へ呼び戻すことに挑戦する。

そのために邦画5社(東宝、東映、松竹、角川、日活)との共同キャンペーンにより、1970年代以前の邦画150作品を「昭和キネマ横丁」と称して賛同を得たレンタル店約2,000店で展開する計画で、これはハピネット<7552>の独占となる。

・自社出資・独占販売作品の展開
上半期にヒットした「のぼうの城」「ZOIDS(ゾイド)」に続いて、下半期も「MALAVITA」「人類資金」「凶悪」などの自社出資・独占販売作品を投入する。これによって利益率の大幅改善を狙っている。

(c)ビデオゲーム事業

売上高は68,000百万円(同84.6%増)、営業利益(同)は800百万円(同18.0%増)を予想している。売上高が大きく増加するのは既述のようにトイズユニオンの子会社化によるもの。一方で在庫評価損の計上等もありトイズユニオンは赤字を計上していることから、営業利益の伸びは小幅に止まる見込みだ。

・新型ハードの拡販
2014年2月にPlayStation4(希望小売価格41,979円税込み)が発売される予定で、2013年10月に発売された新型のPlayStationVitaと合わせて、新型ハードおよび関連したソフト売上を伸ばす計画。

・市場シェア拡大による販売強化
既述のようにトイズユニオンが加わったことで、任天堂関連の年間売上高は約55,000百万円近くに達し、任天堂関連商品の取扱いが2位の企業と匹敵する規模に躍進する。一方でソフト面でも、2013年9月に発売した「モンスターハンター4」(カプコン製)が発売から2ヶ月半で400万本に達するなど、ヒット商品が生まれている。

また「ポケットモンスターX・Y」も、発売2日間で200万本を突破するなど非常に好調だ。さらに、携帯向けアプリゲームで国内累計で2,100万ダウンロード(2013年11月13日時点)を突破している「パズドラZ」が2013年12月発売され、期待されている。
(注:これらのソフトはいずれも「任天堂3DS」向け。注釈がなければ以下同様)

・オリジナル作品の展開
さらにオリジナル商品、自社開発商品の拡充を継続する。2013年11月に発売した「モデル☆おしゃれオーディション ドリームガール」「親子で読めるゲーム絵本」に続き、2014年には小学館「月刊コロコロコミック」で連載中の「ペンギンの問題+」をボードゲーム化する予定。さらに現在、別途5本の新作を自社開発中で、順次発売する計画だ。

(d)アミューズメント事業

売上高は21,000百万円(同2.7%増)、営業利益(同)は1,200百万円(同5.1%減)を予想しているが、第2四半期の実績からすると利益は上方修正される可能性が高いだろう。

・キッズカードゲーム機+αの売場提案
今までのように単にキッズカードゲーム機を置くだけでなく、「キッズカードゲーム機+専用カプセル売場」「キッズカードゲーム機+カプセル+カード+Jカード」や「キッズカードゲーム機+オリジナルおみくじカプセル」など、売場に合わせた提案を進めていく。上期に既に「アイカツ!」で実施中だが、お客の滞留時間も増えて設置場所から高評価を得ている。今後は、「仮面ライダー」「妖怪ウォッチ」「ワンピース」などにも広げていく。

・カプセル販売データ取得システム(POS)の導入
通常カプセル機は同社の社員が現場へ行き、残っているカプセルの数量を数えることで売上数量を把握している。言い換えれば、現場に行くまでは数量が不明なため、売れ行きの良い場所にも悪い場所にも作業員を巡回させなければならない。今回、機器の中に排出センサーと通信装置を取り付けることで、リアルタイムに販売データを取得できる仕組みができた。

これによって売上不振の場所には無駄に作業員を巡回させる必要がなくなり、作業効率が上がると同時に、常時在庫状態を把握できるため「品切れ」による機会損失減少にもつながってくる。同社のデータによれば、一般店の売上高(前年同期比)は、9月99%、10月106%であったのに対して、POS導入店では9月118%、10月153%となっている。現在、50店舗に実装中だが、今期中に200店舗に拡大する計画だ。これによって、当部門の利益率はさらに改善する可能性がある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島昇)

《FA》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均