【市況】新興国の中で健闘するインド株式市場、上昇の背景と来年の見通しは?
インド株式市場が好調です。年初からきのう26日までの騰落率は8.5%と、他の新興国市場と比較して堅調さが際立っています。
例えば、ブラジル・ボベスパ指数は同期間中に16.0%下落、上海総合指数は8.6%下落、香港ハンセン指数は2.3%上昇、ロシアMICEX指数は1.8%上昇にとどまりました。日経平均の55.6%上昇に比べれば見劣りは否めませんが、総じて苦戦が続く新興国の中ではがんばっている方だと捉えられます。
株価上昇を促した要因として、米国景気の改善期待を受けた輸出関連株の好調が挙げられます。米量的緩和縮小を巡って通貨ルピーが今夏に急落する場面がありましたが、これもITなど輸出企業にとっては追い風。今月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で緩和縮小の開始が決定された際も、米国景気の回復が裏付けられたとの見方から輸出株が買い増される場面が目立ちました。
第2の要因はインド準備銀行(中央銀行)に就任したカリスマ総裁、ラジャン氏に対する政策期待です。ラジャン氏が総裁に就任したのは9月のことですが、それ以降の株価は順調に上値を切り上げています。総裁の最大の功績は外国為替市場での通貨ルピーの安定。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が緩和縮小に言及した5月から9月初めにかけてルピーは対米ドルで暴落しましたが、ラジャン総裁就任後は1米ドル=60-64ルピーの間での推移に収まっています。
第3の要因は政権交代に対する期待感。インドでは2014年5月までに総選挙が実施されますが、それに先立ち、今月初めに公表された5州・直轄市の地方選挙では野党勢力が大躍進しました。中央政府の現与党・国民会議派は大敗を喫した格好で、シン政権が引き起こした数々のスキャンダルやインフレ高止まり、経済成長ペースの鈍化などに有権者が反発の意思を明確にしました。
さて、注目は2014年の相場ですが、総選挙で最大野党・インド人民党(BJP)が政権を奪取すれば金融市場は大幅に上昇することが見込まれます。また、日米欧など先進各国の景気回復の波及効果が新興国にも及んでくると考えられ、来年の新興国相場は、インドだけでなく、総じて堅調になるでしょう。
リスク要因はBJPが政権を取った後も政治の停滞が変わらない場合。世界最大かつ最高に能率の悪い民主主義国家なので、このリスクが現実となる可能性は高そうです・・・
(フィスコ・リサーチ・レポーター)
《RS》
提供:フィスコ

米株








