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【市況】新興市場見通し:年末相場で特有の中小型株物色が賑わう展開か


先週の新興市場は、主力のネット関連株からの資金流出を背景に上値の重い展開となった。11月以降に物色の柱となっていたミクシィ<2121>の大幅下落によって需給悪化懸念が燻る中で、ネット関連を中心に換金売りが波及した。米FOMCを通過後の海外株高や円安進行など良好な外部環境は心理的な支援材料となったものの、景気敏感系の大型株へと資金が向かう中で、中小型株は物色の圏外に置かれる格好に。なお、週間の騰落率は、日経平均が+3.0%であったのに対して、マザーズ指数は-3.5%、日経ジャスダック平均は-2.1%だった。

個別では、コロプラ<3668>やアドウェイズ<2489>、ガンホー<3765>、Dガレージ<4819>など、主力のネット関連が軟調だった。また、タカラバイオ<4974>やナノキャリア<4571>、テラ<2191>など、バイオ関連も換金売り優勢に。その他、今期の業績予想を大幅に下方修正したマクドナルド<2702>、第3四半期決算がネガティブ材料視されたエニグモ<3665>なども冴えない動きに。一方、マイクロニクス<6871>は、量子技術に基づく二次電池への関心を背景に売買を伴って上値追いとなった。また、ファンコミ<2461>は今期業績や配当予想の上方修正を発表したほか、セプテーニHD<4293>は今期の好業績観測報道が伝わり、ネット広告関連が堅調。なお、IPO銘柄については、アズマハウス<3293>の初値上昇率が10%、イーグランド<3294>が27%、アーキテクツSJ<6085>が124%、シグマクシス<6088>が0.3%、シンプロメンテ<6086>が135%となり、アビスト<6087>は公開価格と同水準の初値形成となった。

今週の新興市場は、良好な外部環境が支援材料となり上値を試す展開となりそうだ。米FOMCを通過後はリスクオンムードが一段と強まる中で、日経平均は終値ベースでの年初来高値を捉えており、リスク許容度の高まりが追い風となろう。マザーズ指数は5月に付けた年初来高値を依然15%程度下回る水準となっており、相対的な出遅れ感も残る。日経ジャスダック平均は先週末まで8日続落となるなど、証券優遇税制廃止に伴う換金売りが上値を抑える要因になるとみられるが、換金売りのピークが通過する週後半にかけては、例年通り、年末相場で特有の中小型株物色が賑わいを見せることが期待される。

個別では、値動きの軽いネット関連や直近IPO銘柄の物色が中心となりそうだ。先週はミクシィが下げ止まりの動きを見せ、再度、短期資金の物色で賑わうとネット関連の刺激材料となるだろう。また、年末相場では来年の注目銘柄を探す動きも活発化するとみられ、ネット関連では今期の業績改善や東証1部への昇格期待の高まるサイバーエージ<4751>の動向なども注目されよう。その他、直近でジャスダック市場において売買代金トップとなっているマイクロニクスに一段と関心が高まる公算も。量子技術に基づく二次電池への注目度を背景に、上値追いの展開も期待される。

その他、年末のIPOラッシュがほぼ一巡し、直近IPO銘柄への見直しも見込まれる。年始以降はIPOの休止期間となるため、直近IPO銘柄の循環物色が続くとの期待感が支援材料となる。なお、今週は24日にヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ<6090>がマザーズ市場へ上場するが、成長期待の高いバイオ関連で今年最後のIPOともなるため、初値の人気化は必至となりそうだ。

《TN》

 提供:フィスコ

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