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【経済】ハウステンボスの業績が劇的に改善


長崎県佐世保市の大型リゾート施設「ハウステンボス(HTB)」は16日、2013年9月期単独決算において、最終利益が前期比29.6%増の53億5800万円で過去最高となったことを発表した。
売上高は同29.6%増の216億2900万円、営業利益は倍の48億4800万円、交付金(7億4400万円)を加えた経常利益は67.9%増の57億3000万円で、3年連続の営業黒字となった。
HTBは2003年に、初期投資の負債2,289億円を解消できず、会社更生法の適用を申請した。野村プリンシパル・ファイナンスをスポンサーとする更生計画案が認可され再建に取り組んでいたが、再度の経営状態悪化により、野村プリンシパル・ファイナンスは2010年3月をもって支援から手を引いた。そこで、2010年4月からは旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)<9603>傘下で経営再建を進めていた。
社長に就任した沢田秀雄氏は、60億円の債務のうち8割に当たる債権放棄を受け、残債務も九州財界から出資金で弁済し、債務ゼロの状態で経営を開始した。同社が支援に乗り出す際の条件の一つとして、2010~2019年度の10年間で佐世保市から固定資産税と都市計画税納付額に相当する約73億円の再生支援交付金を受け取ることも決めた。
今回の決算を受け沢田秀雄社長は、予定を5年前倒しして2014年9月期で再建を完了し、再生支援交付金についても2014年9月期限りで受け取りを終え、残りは返上する方針を表明した。
アクセスが悪く、周辺に他に集客を見込める施設がない、市場規模が小さいなど、経営再建は困難ではないかと思われたが、当初の「オランダ風」コンセプトにこだわらず、1000万個の電飾で建物や地面を彩った世界最大級のイルミネーション「光の王国」や、「巨大立体迷路」、日本初の大人気マンガ「ONE PIECE」の体験型アトラクションなど魅力ある新施設の導入やイベントの拡充で集客力を向上させ、コストを減らし、わずか数年で劇的に業績を改善させた。
今後、スマートハウスやスマートホテル、メガソーラー施設の新設等新たな環境関連ビジネスの推進や、医療観光事業の参入等によるハウステンボスの“観光ビジネス都市”化へ向けた動きも加速していく予定だという。
今後も順調な業績を続けていくことができるのかHTBの動向から目が離せない。

《YU》

 提供:フィスコ

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