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【経済】にわかに米緩和縮小の先延ばし論?12月の引き締めは“過去40年間ない”


きのう16日の米国株式相場ではダウ平均が続伸し、前営業日比0.82%高の15884.57で取引を終えました。この日発表された欧米経済指標の好調さが投資家のリスク志向を回復させたと説明されており、例えば11月の米鉱工業生産は前月比1.1%増と、市場予想の0.6%増および前回10月実績の0.1%増(改定値)を上回って着地しました。

米連邦準備理事会(FRB)が今週17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的金融緩和の縮小に着手するとの不安から最近は株式が売られる傾向もありましたが、前日は良好な経済統計が素直に好感されたようです。

ただ、一部ではFOMCが今月の緩和縮小(テーパリング)を見送るとの思惑が株高につながったとの声も聞こえます。FOMCが12月のテーパリングを見送る根拠として様々な意見が挙げられますが、その中のひとつに「過去40年で12月に金融引き締めが実施された経験がない」という要因があります。

欧米人がクリスマスの長期休暇で市場を留守にしがちなため市場の流動性が細り、緩和縮小によって相場が乱高下するのを避けるのではないかとの読みが投資家の間に広まった可能性があります。

また、米消費者物価指数(CPI)上昇率がここ数カ月でさらに低下しており、雇用者数の伸びのトレンドが月20万人程度となっていることと合わせて、経済指標がマチマチであることも縮小見送り要因に数えられます。

さらに重要なことは、FRBは緩和縮小と同時にフォワードガイダンスを強化し、超低金利政策は長期間にわたり継続するということを市場に知らせようとしています。ただ、このガイダンス変更について金融当局内でコンセンサスが固まっておらず、さらに次期FRB副議長候補に名前の挙がったフィッシャー・イスラエル中央銀行前総裁はガイダンスに否定的な意見を示しています。

このほか、来年1月には共和党が債務上限引き上げ問題でオバマ政権から譲歩を引き出すと息巻いていることもあり、財政協議が新たな難関にぶちあたる可能性もゼロではありません。

FOMC結果が発表されるのは日本時間19日午前4時。いまのところ、縮小開始が決定される確立は五分五分とされていますが、FOMCはどんな判断を下すのでしょうか?

(フィスコ・リサーチ・レポーター)

《RS》

 提供:フィスコ

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