市場ニュース

戻る
 

【経済】週刊ダイヤモンド今週号より~東電救済劇を巡る思惑、引き金は“アンダーコントロール”


福島第1原子力発電所の事故からまもなく3年。国と東京電力<9501>が見込む収束費用は天井知らずで、汚染水対策と廃炉で2兆円、除染で3.3兆円、賠償で5兆-6兆円程度と見積もられています。こうした中、東電を国が救済しようという声が上がっていますが、果たして東電救済で最後に笑うのは誰なのでしょうか?

今週号の週刊ダイヤモンドでは東電の救済劇を中心に特集を組み、国や政党、省庁、金融機関などの思惑をひも解いています。また、疲弊する福島原発処理の現場や東電が目論む“復活”、変化する電力業界の勢力図などにもスポットを当てています。

安倍首相が五輪招致でのスピーチで「汚染水アンダーコントロール」と発言したことが、東京五輪の実現につながったとの声が聞かれます。ただ、汚染水処理がおぼつかない中、後の国会審議ではこの「アンダーコントロール」が厳しい追及を受けることになりました。

汚染水が東電救済劇の引き金を引く状況下、東電には「国の支援さえあれば、昔の姿を取り戻せる」との思惑があると記事は指摘しています。さて、「アンダーコントロール」発言で汚染水処理を“国際公約”としてしまった国ですが、内部では国費を投入して改革を促したい経済産業省、全部東電の責任にしたい財務省とが対立しています。

さらに電力業界では東電が王座を返上し、東電以外の電力各社は何よりも原発を動かしたいと。原発停止で7割が値上げに踏み切ったほか、発送電分離には反対姿勢が目立ちます。東電に融資している銀行は貸した金を守り通す義務があり、東電は「大きくて潰せない」存在。原発再稼働か料金値上げに賛同しているようです。

さて、除染にかかる費用試算には約3兆円から45兆円もの幅があります。特集では必要な費用を仮に“最強の徴税装置”といわれる電気料金システムで賄っていくと想定した場合、電気料金がどれくらいになるのかをシミュレート。

悲観シナリオでは東電管内の電気料金値上げ幅が月額4740.6円、東電管内以外で4023.9円に達すると見積もられました。毎月4000円以上の電気料金値上げが10年間続けば、1家庭当たり東電管内で約57万円の負担。かなりの打撃になります。

《NT》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均