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【経済】NYの視点:米QEの年内縮小の確率が上昇


米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、米連邦準備制度理事会(FRB)が実施している量的緩和第3弾(QE3)の行方を探る上で鍵を握る米国の労働市場に関して良好な指標が出た。これを受けて、12月会合でのQE縮小の確率がさらに上昇したと考えられる。

米労働省が発表した米国の10月JOLT求人労働異動調査は392.5万件と、2008年来5年ぶりの高水準となった。この指標は雇用統計の補助的な統計として重要視されている。

雇用された労働者は451万人。9月の463万人から減少したものの、景気後退が始まった時期の雇用水準の500万人に少しずつ近づいている。解雇・離職者は424.9万人。26.1万人の雇用が創設されたことになる。9月の15.5万人から大幅に増加したほか、2月の27.1万人以来で最高水準となった。また、米10月雇用統計での非農業部門雇用者数20万人を上回る。求人数は7.7%増加。特に民間企業の求人が強く、7.8%増の355万件となった。政府関連の求人は35万件から37.3万件へ増加した。失業者総数は1127万人で、2.9人の失業者に対し1件の求人の割合となった。2012年10月時点では、失業者総数1225万人で、そのうち3.4人に対し1件の求人の割合だった。このことも労働市場の改善を示す。

年内のQE縮小を示唆する要因はそのほかにもある。まず、今週中に超党派予算委員会で、米国政府機関閉鎖のリスクを低下させる案で合意に向かっていることはFRBの景気見通しの不透明感を払拭させる。

「ブラックアウト」期間直前のFRB高官の発言からもQE縮小に前向きな姿勢が見られた。2013年のFOMC投票権を有し量的緩和第3弾(QE3)を支持してきたブラード・セントルイス連銀総裁は9日、「QEの行方は指標次第」としながら、米雇用統計の改善で「FRBがQE縮小に踏み切る確率が上昇した」との見解を示し、小規模でのQE縮小を示唆した。同時に、QE縮小が引き締めでないことを市場に再確認していく必要性を訴えた。

2013年の投票権を持っておらず、タカ派として知られているフィッシャー米ダラス連銀総裁は「長期債利回りの水準は投資家がすでにQE縮小を織り込んでいる」と述べた。

実際、米国10年債利回りは、9月のFOMCが開催された9月中旬の水準で推移している。この時期には、多くの投資家がFRBによるQE縮小を織り込んでいた。

《KO》

 提供:フィスコ

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