【市況】国内株式市場見通し:米量的緩和縮小の見方に変化、リバウンドを意識した相場展開
■「2日新甫は荒れる」状況に
先週(12/2-6)の日経平均は下落。名実ともに師走相場入りとなった先週は、相場格言通り「2日新甫は荒れる」状況になった。週前半は小動きが続き、3日には年初来高値(終値ベース)を更新した。しかし、好調な経済指標の発表が相次ぐ米国では、米連邦準備制度理事会(FRB)が近く量的緩和縮小に動くとの懸念が再燃。NYダウは16000ドルの節目を割り込むと、この流れを受けてトヨタ<7203>など主要銘柄への利益確定が強まった。先物主導によるインデックス売りなどの影響から、日経平均は4、5日の2日間で500円を超える下落に。先物主導で乱高下が続くなど、今週に控えているメジャーSQ週並みの値動きの荒さだった。
一方、ソフトバンク<9984>が急動意をみせたほか、ネットやバイオ関連など中小型株への物色が活発となるなど、個人投資家の物色意欲は旺盛だった。もっとも、資金の逃げ足は速く、いったん値動きが止まると急速に値を下げるなど、全体地合いが調整入りとなるなか、腰の据わった資金は入りづらかったようだ。
■リバウンドを意識、米量的緩和縮小の見方に変化
今週(12/9-13)はリバウンドを意識した相場展開が期待されそうだ。6日に発表された11月の米雇用統計の結果を受けた米国市場の流れを引き継いでのスタートとなるが、非農業部門雇用者数が20万3千人増、失業率が7.0%へと低下し、予想を上回る改善となった。さらに、これまでは量的緩和縮小に動くとの懸念が世界市場の波乱要因だったが、6日の米国市場では、量的緩和縮小にも対応できる経済情勢が整いつつあるとの市場反応をみせている。17-18日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和縮小に踏み切るとの思惑が強まるなか、これを織り込む流れだろう。また、米連邦規制当局は今週、金融機関の自己資金による投機的取引を規制する「ボルカー・ルール」の強化案を承認する見通しだ。波乱要因となる可能性はあるが、足元では早期のボルカー・ルール適用決定が噂されていたほか、野村証券による欧州主要行の株価格付けの引き下げなども観測されるなか、ネガティブ・サプライズとはならないだろう。
■メジャーSQ後を意識し次第に中小型株物色へ
先週の日経平均は週半ば以降、メジャーSQ週並みの値動きの荒さだったが、13日に12月の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)となる。既に先週の動きから早めにロールオーバーを進めているとの見方もされていたが、よりSQに絡んだ商いが中心になるようだと、物色は個人主体による中小型株や材料系の銘柄にシフトしやすい面もある。特にメジャーSQ通過後は、海外勢はクリスマス休暇入りとなるため、来週には一気に商いが細る可能性もある。政策などをテーマとした個別対応に向かいやすい。そのほか、今来週はIPO(新規上場)が多く予定されていることもあり、好パフォーマンスが続くようだと、中小型株相場が盛り上がりをみせそうだ。
■15000円処は割り込むことが許されない価格帯
なお、日経平均は一先ず15000円割れを回避した格好ではあるが、明確なボトム意識は強まっていない。さらに甘利経済再生相は自らの体調について「早期の舌がん」と明らかにしたほか、環太平洋経済連携協定(TPP)関係閣僚会合を欠席し、今週にも手術をする。3-4週間後には公務に復帰する見通しと報じられているが、日経平均の13000円、14800円の甘利越えをみせてきた株式市場にとってマイナス材料になりやすい。
甘利経済再生相は10月に、「株価は14800円の壁を突破できずに資産効果が止まっている」と発言し、その後甘利越えをみせた。また、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の基本ポートフォリオ見直しへの期待が根強いほか、日銀による追加緩和政策への思惑など、株価対策への期待は大きいだろう。メジャーSQ通過後は商いが細る可能性があるが、海外勢による利益確定なども一巡することで、押し目買いのタイミングとして意識される。アベノミクスへの期待から、15000-14800円辺りは割り込むことが許されない価格帯である。米国の量的緩和縮小への見方が変化をみせるなか、メジャーSQが波乱含みとなるようなら、戻りを意識した押し目買い好機のスタンスで望みたいところであろう。
《FA》
提供:フィスコ

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