【経済】NYの視点:円の売り持ち高は07年来で最大、米財政協議合意期待でリスクオン
12/3 付けのシカゴIMM、投機・投資家筋のポジションで円の売り持ち高は前週からさらに拡大、先週に続き2007年7月以来で最大を記録した。市場が大きく円の売り持ちに傾斜したことは同時に一段の円の下落を抑制する可能性も示唆する。
■来週のポイント
良好な11月の米国雇用統計、財政協議での合意期待に2014年の米国経済の成長ペースが加速するとの見方が強まりドルを支援すると考えられる。13日に交渉期限をむかえる財政協議の行方に注目が集まる。
■米国
13日:財政協議の交渉期限
14日:米下院の年内審議最終日
米国労働省が発表した11月雇用統計で、失業率は7.0%まで低下し、2008年11月以来の低水準となった。非農業部門雇用者数は前月比+20.3万人と市場予想の+18.5万人を上回った。10月に続き2カ月連続の20万人台。過去12ヶ月間の平均は19.1万人となった。FRB高官らはQE縮小には少なくとも毎月20万人の雇用の増加が持続する必要があると指摘していたが、この水準に近づいた。結果を受けて、プロッサー米フィラデルフィア地区連銀総裁は「雇用に安定した伸びが見られる」との見解を示し、「FRBはQEを解消すべきだ」と要請。同総裁は2013年のFOMC投票権を持っておらずタカ派として知られる。米有力債券ファンド運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント(ピムコ)の最高投資責任者(CIO)であるビル・グロス氏は12月のQE縮小の確率は50%であるとの見方。FRBがQE縮小に踏み切りたいのは明らかだとした。
「雇用統計は、FRBが12月にQE縮小に踏む切れるほど強くない」との見方がまだ一般的なようだ。しかし、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙のFedウォッチャーのヒルゼンラス氏は逆に、12月、1月のQE縮小の確率が上昇したと見ている。FRBはQE疲れしており、雇用統計は米国の景気回復が新たな段階に入ったことを証明、QE縮小を正当化できると述べた。
13日にポール・ライアン下院予算委員会委員長を初めとした超党派委員会による財政協議の交渉期限を迎える。これは10月の政府機関の運営再開の条件。年明けの政府機関閉鎖や強制歳出削減の発動を回避し抑制されていた防衛費を拡大させるため、2年間で900億ドルの予算で合意を目指す交渉が継続。下院の年内の審議は14日で終了するため、それまでに承認に持ち込めるかどうかに注目される。現時点で論争の焦点は、失業保険給付の延長を継続するかどうか。民主党は保険の給付がなければ2014年に24万人の雇用が失われることになると主張。一方で、共和党は延長に断固として反対している。
民主党と共和党の意見が大きく食違うコアの問題、増税やメディケア(高齢者向け医療保険制度)・メディケイド(低所得者向け医療費補助制度の削減)の長期削減に関しての論争は中間選挙後に先送りされることになる。万が一、協議がまとまらなかった場合に備え、下院共和党は来週財低予算案の採決を目指す可能性もある。
*日本円
ネット・円売り持ち:-133,383(12/3)←円売り持ち:-123,202(11/26)(直近ネット円買い持ち最高水準:08年3/25+65,920、04年2/6+64499)(過去最高ネット円売り持ち高:07年6/26-188,077)
*ユーロ
ネット・ユーロ買い持ち:+9,312(12/3)←ユーロ売り持ち: -431(11/26)(07年5/15:+119,538過去最高買い持ち高、10年2/9-57,152過去最高の売り持ち高)
*ポンド
ネット・ポンド買い持ち:+18,369(12/3)←ポンド買い持ち:+391(11/26)(07年7/22:直近ネット買い持ち高最高水準+98,366)
*スイスフラン
ネット・スイスフラン買い持ち:+6,547(12/3)←スイスフラン買い持ち:+4,652(11/26)(過去最高スイスフランネット売り持ち高:07年6/19:-79,331)
*加ドル
ネット・加ドル売り持ち:-41,583(12/3)←加ドル売り持ち:-28,780(11/26)(直近ネット買い持ち高最高水準:07年10/12+83001)
*豪ドル
ネット・豪ドル売り持ち:-44,311(12/3)←豪ドル売り持ち:-33,511(11/26)
*NZドル
ネット・NZドル買い持ち:+7,639(12/3)←NZドル買い持ち:+10,249(11/26)
*メキシコペソ
ネット・ペソ買い持ち:+8,833(12/3)←ペソ買い持ち:+12,463(11/26)(直近買い持ち高最高:08年2/29+125,000)
《KO》
提供:フィスコ