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【市況】新興市場見通し:上値を試す展開、中小型株の年末ラリーに向けた期待感が追い風


先週(11/25-29)の新興市場は、リスクオンムードが心理的な支援材料となったほか、主力のネット関連株の上昇が牽引し堅調な展開となった。海外株高や円安進行を背景に日経平均が一時15700円台に乗せるなど、良好な外部環境がリスクオンムードにつながった。また、ジャスダックから東証1部への市場変更を発表した楽天<4755>をはじめ、時価総額上位のネット関連株が強い動きとなり指数を押し上げた。ただし、直近IPO銘柄が初値の高騰後に値を崩したことが楽観ムードに水を差す格好にも。週間の上昇率は、日経平均が1.8%であったのに対して、マザーズ指数は2.5%、日経ジャスダック平均は0.8%だった。なお、マザーズ指数は週末に一時、約1ヵ月ぶりに900ポイントの大台を回復した。

個別では、楽天が週間で約7%の上昇となったほか、ミクシィ<2121>が約98%の大幅上昇となるなど、主力のネット関連株が強い動きとなった。ミクシィについては、スマホ向けゲーム「モンスターストライク」のヒットに対する期待感が高まったもようで、週末にはストップ高比例配分となるなど急伸。また、LINEの世界利用者数が3億人を突破したと伝わり、アドウェイズ<2489>やネットイヤー<3632>など、LINE関連も賑わった。その他、格安のスマホ向け通信サービスを手掛ける企業への関心も高まり、フリービット<3843>と日本通信<9424>が揃って急伸へ。一方、メディアドゥ<3678>やM&Aキャピタル<6080>、ANAP<3189>など、直近IPO銘柄が揃って週末に上場来安値を更新した。なお、週末にマザーズ市場へ上場したアライドアーキテクツ<6081>は上場初日に初値が付かなかった。

今週(12/2-6)の新興市場は、中小型株の年末ラリーに向けた期待感が追い風となり、上値を試す展開となりそうだ。今週から12月相場入りとなるが、年末・年始は個人投資家を中心とした中小型株の物色が強まりやすい季節性がある。また、12月は17社のIPOが予定されており、IPO銘柄の初値高騰が話題となる中で、新興市場へと目が向きやすい環境でもあるだろう。今年は証券優遇税制の廃止に伴う換金売りが年末に向けて出る可能性はあるものの、新興市場の売買代金は高水準が続いており、過度な警戒感は高まらないとみる。なお、マザーズ指数は10月下旬に付けた直近の戻り高値を突破すると、日経平均と同様に、5月に付けた年初来高値を試すことも予想される。

個別では、ネット関連や直近IPO銘柄など、値動きの軽いテーマ株への物色が中心となりそうだ。先週は楽天やミクシィなどの急伸に加えて、LINE関連があらためて賑わうなど、ネット関連に対する関心が高まっている。とりわけ、マザーズ市場に上場後10年を経過した銘柄は、東証1部または2部市場への昇格が促される措置が来年4月からスタートすることもあり、サイバーエージなどには思惑的な動きが続く公算も。

また、今週は3日にライドオン・エクスプレス<6082>、6日にオンコリスバイオファーマ<4588>がそれぞれマザーズ市場へ上場する。先週末に上場したアライドアーキテクツも上場初日に初値が付かないなど、IPO銘柄の初値高騰が続いており、短期資金の集中が見込まれる。なお、12月のIPOラッシュの中でバイオ関連と位置付けられるIPOは2社しかなく、オンコリスバイオファーマの動向が年末のバイオ関連への物色を左右することになりそうだ。

《FA》

 提供:フィスコ

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