【市況】【北浜流一郎の乱にチャンスあり!】 「上昇トレンド株の押し目を狙う!」
●米雇用改善が円安を後押し
前回は、「残念ながら東京市場、なかなか落ち着かない。特に大きなマイナス材料があるわけではないのに、日経平均株価は1万4000円のキープも危ぶまれる状態となっている。11月から1月にかけては、例年株が最も上がりやすい3ヵ月になるため、私は『黄金の3ヵ月』と呼んでいるほどなのだが、いまのところ黄金らしい輝きはどこにも見られない」――こんな嘆き節を書いたのだが、その後、東京市場の風向きは完全に変わった。
しかも、尋常な変わりようではない。上がり過ぎを案じなければならないほどの急騰であり、日経平均の水準も1万5500円台だ(22日執筆現在)。
背景には円の下落がある。改めて書くまでもなく、東京市場にとって最高の特効薬は対ドルでの円安。いまはそれが訪れているのだから、日経平均は上がって当然の状況だ。
では、その円安はどこから来たのか。米国の雇用情勢の改善だ。11月8日、東京市場で日経平均が1万4000円を割り込みかねないところまで下げた直後に発表された米国の10月雇用統計。これが驚くようなものだった。
予想は10万~12万人増。ところが、実際には20.4万人増だったのだ。9月の速報値が14.8万人の増加だったが、それを大幅に上回っていたのだから、市場にとっては典型的なサプライズ。早速ドルが買い直され、いまもそれが続いている。
次期FRB議長への就任が決まっているイエレン副議長は、「現状では雇用の回復が遅れているため金融緩和を継続する」と公言している。しかし、前述の雇用統計に加え、21日米労働省が発表した米失業保険申請件数も11月16日までの1週間に32万3000件となり、前週比2万1000件減少していた。
雇用は明らかに改善中と見てよく、量的金融緩和の縮小は従来予想の「早ければ年内、遅くとも来年3月中には実施される」という見方通りになる流れだ。
それがわれわれ日本の投資家にとって好ましいのは、ドル高要因となるから。現在のところ円は4ヵ月ぶりに101円台に下げたところだが、量的金融緩和が縮小されるなら、もっと下げて5月につけた103.57円の安値を割り込むのも時間の問題だ。
もちろん、それで終わってしまってはあまり妙味がない。さらに下げる可能性が高いが、それは年明け以降、2014年相場の楽しみということになりそうだ。
●チャートで株価位置を確認
では、いまから輸出関連株に投資しておくのはどうか。こういうことになるかもしれないが、それには賛成できない。すでにそれらのほとんどは目先高くなっているからだ。
ここからは円の反発を想定しておいた方がよく、そうなった場合、現在新値に進んでいる輸出関連株も押しを入れる。そこで投資しても遅くはない。
何しろ、あれこれとよく上がっている。私が注目銘柄として繰り返し取り上げるダイキン <6367> などは実にほれぼれする上昇ぶりとなっている。
ぜひ、このチャート集で同社株の日足を見ていただきたい。適度な押しを入れながら浮上を続けていて、私から見ると、美しいとさえ表現してよいチャートだ。
タレントさんで表現するなら、藤原紀香さんといったところだ。しかし、だからといってこの株にいますぐ投資するのには賛成できない。チャートを見ると明らかなように、これまで幾度も押し目をつけているので、そこが買い場だったのだ。
このような観点から市場を見回すと、現在驚くほどの上昇劇を演じているソフトバンク <9984> にしても、反落場面が来る。この株にしても10月28日頃から11月11日にかけては保ち合い状態が続いていたのだ。
そして、いま急騰中だ。今後はまた失速、調整することで買い場が提供されることになる。いまはこんな銘柄が多くなっているだけに、チャートで株価の位置の確認が不可欠だ。
で、注目したいのは、JAFCO <8595> だ。この株も高値を更新したばかりだが、いまはIPO(新規上場)ラッシュになっていて、来年もそれが続くことを考えると、株価は目先下げても回復力は強いと見てよい。
ネット上の販売店運営の決済処理サービスに強いGMO-PG <3769> も高値圏ながら目先小反落が想定されるため、そこで投資しておきたい。
同様の観点から日産化 <4021> も目先少し下げて買い場になる確率が高く見逃せない。
2013年11月22日 記
「チャートブック日足集」No.1496より転載
(「株探」編集部)