市場ニュース

戻る
 

【特集】GMOアドパートナーズ Research Memo(10):通期ではトライズデジタルベースも収益に好影響の見込み


■業績動向

(2)2013年12月期の業績見通し

GMOアドパートナーズ<4784>の2013年12月期の連結業績は、売上高が前期比30.1%増の20,000百万円、営業利益が同36.4%増の745百万円、経常利益が同0.1%増の765百万円、当期純利益が同5.0%減の340百万円となる見通しだ。経常利益が横ばい圏にとどまるのは、2012年12月期にはあった匿名組合投資利益206百万円が2013年12月期は無くなる影響が大きい。また、当期純利益が減益となるのは、第2四半期の累計と同様、少数株主利益の増加を見込んでいるためだ。第2四半期の累計までの進捗率は、売上高が47%、営業利益が54%、経常利益が52%、当期純利益が49%となっており、ほぼ計画通りの進捗と言える。

第3四半期に関しては、引き続きスマートフォンやSNS向け広告の需要が旺盛なことから、売上高は順調に推移するとみられるが、営業利益に関しては第2四半期決算においてJWordの利益が特殊要因で20百万円ほど大きく出ているため、対前四半期でみると利益ベースで若干落ち込む可能性がある。また、イノベーターズに関しては出資時期を2回に分割しており、2回目の出資となる10月以降に損益上で加算される格好となるため、第3四半期には影響しない(バランスシートでは第3四半期末より反映)。

イノベーターズの主力事業はアフィリエイト広告で、主要なクライアントはクレジットカード会社のほか金融業界向けとなっている。足元の売上高は好調で、既に上半期だけで2012年12月期の通期実績を上回るほどで、連結初年度から業績面でのプラス効果が期待される。また、今後に関してもGMOインターネットグループで運営するサイトを使ってアフィリエイト広告サービス事業を一段と強化していくほか、GMOアドパートナーズの自社商材をイノベーターズの販売ルートを使って販売していくことも考えられるなど、シナジー効果が期待される。

さらには、6月にトライステージと合弁で設立したトライズデジタルベースに関しても収益面での好影響が見込まれる。同合弁会社ではトライステージの70社強のTV通販企業の顧客に対して、インターネット広告とTV広告の効果を可視化し、より広告効果を詳細に分析できるサービスを提供すると同時に、投資効果の高いインターネット広告サービスを提供していく戦略だ。同社の自社商材である広告配信最適化プラットフォームサービス「GMO DSP」や「ADResult」などアドネットワーク商品の売上高の拡大が見込まれる。

トライステージの顧客企業のなかで、GMOアドパートナーズグループでアカウントを開いているのは2?3社程度しかなく、今後の顧客開拓余地は大きいと言える。既に数社は契約が決まっており、今後更なる顧客開拓と売上高の拡大が期待される。

収益への貢献という点においてはまだ先とみられるが、海外展開も着々と準備が進んでいる。2013年4月に海外事業準備グループを社内に設置し、既存顧客のほかGMOグループ各社が海外展開を行っていく際に、現地での広告支援をサポートしていくことを視野に入れている。当面の進出先はアジアや北米地域が対象となる。また、2013年10月には中国へ進出する日系企業の広告支援を行うチャイナ・コンシェルジュの株式を取得、連結グループ会社化した。同社が編集・広告販売を取り扱うフリーマガジン「Concierge」は、大連、北京、上海、香港における邦人向けNo.1ブランドである。東日本大震災の発生や中国市場の環境悪化などを背景に業績は厳しかったが、足元の状況は回復基調となっており2014年12月期は黒字転換の見込みとなっている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト佐藤 譲)

《FA》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均