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【市況】【北浜流一郎の乱にチャンスあり!】


 「円高で売られた銘柄を拾う!」

●日米の明暗分けた雇用統計

 一難去ってまた一難だ。先々週までは米国の債務上限引き上げ問題にやきもきさせられたが、いまは量的金融緩和縮小の先送り観測に戸惑っている。

 前者は結果的には東京市場の上昇要因になった。米国がデフォルト(債務不履行)に陥るのでないとの懸念から金融市場は日々大量のネガティブ情報の洪水に見舞われたが、株式市場は堅調そのものの動きになった。

 結果的には、「あれこれ世の中は騒いでいるけど、結局は解決するよ」――こんな常識的な予想通りの決着になったからだ。

 東京市場も同様の見方から上昇を続けて日経平均は今月23日には1万4799.28円の高値をつけるところまで上昇したのだが、その後急落、この原稿を書いている週末時点でも回復できないままだ。

 切っ掛けは米国の遅れていた9月の雇用統計発表だ。4日に発表される予定が債務上限引き上げ問題で議会の対立が続き、一時政府機関が止まったことでデータの収集ができなくなっていたのだ。それが22日、ようやく発表にこぎ着けたのだが、中身が日本の投資家にとっては望ましくないものだった。

 非農業部門の雇用が14万8000人増に止まったのだ。市場予想は18万人。それより大分少なかったことになる。それで分かったのは、米国経済の回復が順調に進んでいるとはいえないこと。つまり、好ましくない状況にあることを明示していた。

 米国市場はそれをどう受け止めたか。歓迎したのだ。米国株式市場が現在望んでいるのは、米国経済の回復が遅れている。これになるからだ。

 米国経済の回復が順調でないのなら、FRBは量的金融緩和を縮小できない。市場はそうなることを願っているため、雇用が改善したりするのを嫌がっているのだ。

 お金がからむことなら、国が不幸であっても構わないというのが米国株式市場の偽らざる気持ちじゃないか。こう疑いたくなるほど株式市場はクール過ぎる反応を見せていることになる。

 それに比べると為替市場は中立的な反応であり、ドルが下落することで雇用の回復の遅れに警戒を示している。これは正当な反応。こう言えるものの、われわれ日本の投資家からこれを見ると、決して喜べない。

 このところ米国市場が堅調そのものの動きになっているのに、東京市場が波乱の展開であるのは、ここに原因があるからだ。つまり、東京市場が何より恐れているのは、為替市場での円高。米国の雇用改善の遅れによりドル安円高となったことで、東京市場ではトヨタ <7203> 、ソニー <6758> 、京セラ <6971> など輸出関連株の多くが上がれなくなってしまっている。

●円高は目一杯か

 このような状況が改善し、ドルが買い直されるのは一体いつになるのか。残念ながら正確な予想は困難ながら、市場はいまのところは雇用改善の遅れによる米国経済の成長鈍化を株価に織り込みつつあるところ。

 週明けには大部分読み込んでしまうと見てよく、円は目先一時的に96円台に突っかけることもないとはいえないが、すでに目一杯なところ近くまで上がったと見てよく、今後は反落の確率が高い。

 それに忘れてならないのは、米国の雇用は決して悪化しているのではない。9月のデータでは増加のスピードが鈍ったということであり、増えなかったわけではないのだ。市場が自分たちの都合のよいように情報を利用する傾向があるため、景気がさも悪化しているような印象を与える情報演出がなされ、われわれもそれを無視はできないものの、実際は市場が騒ぐほど悪化はしていないのだ。

 そこで、ここでの対応はこのところの円高で売られた銘柄をしっかり拾っておく。この作戦が先行き開花すると見る。

 具体的には、まずは毎回取り上げるソフトバンク <9984> だ。この株も順調に上がり続けていたが、週末は反落した。アップル製品向けのヘッドフォンに強いフォスター <6794> も急反落したので、これまた見逃さないようにしたい。収益回復が報じられたにも関わらず株価が失速したエプソン <6724> も今後の蘇生が楽しみな銘柄になる。

 さらには毎度お馴染みのダイキン <6367> だ。そして、低位株ではOKI <6703> が魅力的だ。

2013年10月25日 記

「チャートブック日足集」No.1492より転載
(「株探」編集部)

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