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【特集】テックファーム Research Memo(10):米カジノ向けのモバイル決済システム導入は15年頃が有力か


■中期見通し

●米カジノ市場向け電子マネー事業の状況について

テックファーム<3625>の2016年以降の収益をみるうえで、大きなプロジェクトになっているのが、米カジノ市場向けの電子マネー事業である。同事業は、日本金銭機械<6418>の米国子会社であるJCMアメリカンと2011年5月に業務提携し開発に着手した事業で、2012年には新たにカジノ向けのATM、KIOSK端末の最大手であるNRTテクノロジー(カナダ)を加え、3社共同でシステム開発を行っていたものだ。

9月24~26日に米国ラスベガスで開催されたカジノ・ゲーミング業界の展示会「GlobalGaming Expo(G2E)」ではJCMと3回目となる共同出展を行った。同展示会ではNFC技術(※)を用いたモバイル決済システムをスロットマシーンで実演し、現在のカジノシステム、規制により即した形態で、具体的な利用シーンを演出することで、来場した主要オペレーター、ベンダー各社へアピールしていた。

米国のモバイル決済市場は、日本に比べて立ち遅れていたものの、2012年以降大手小売店や外食チェーン店などで対応が進むなど、ここにきて普及が進み始めている。カジノ運営側も、導入機運が盛り上がっているのが現状だ。

現時点において、G2Eでモバイル決済ソリューションを展示しているのがJCM/テックファームのみであることからすると、モバイル決済システムの導入が決まった際には、採用される可能性が高いと言えよう。なお、モバイル決済システムではNFC方式のほかにもBluetooth、バーコード等の候補があるが、同社ではいずれの通信方式にも対応が可能となっている。現段階では早くて2015年頃のカジノ市場への導入が有力とされており、同社としては早期に事業化したい考えだ。

米国カジノ市場での導入が始まれば、マカオやシンガポールなど現在の主要カジノ市場での導入の可能性が広がるだけでなく、新たな創設に向けて動き出そうとしている日本市場においての事業展開も期待されるだけに、今後の動向が注目される。

※NFC・・・NFC:Near Field Communicationの略称であり、ICカードや携帯電話など、様々な機器間でデータの送受信を行うための近距離無線通信技術のことを指す


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)

《FA》

 提供:フィスコ

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