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【経済】NYの視点:ウォールストリートは政府機関閉鎖より債務上限問題を懸念


米国与野党が暫定予算案で合意に達せず、1日から政府機関が一部閉鎖された。閉鎖は1996年以来で17年ぶり。ある程度、予想されていたこととは言え、閉鎖の長期化は米国経済に悪影響を与えることは必至。米国政府機関の閉鎖は10-12月期の国内総生産(GDP)を0.3%引き下げると見られている。また、万が一、長期化した場合には2014年のGDPにも影響を与えることになる。オバマ米大統領は声明を発表し、「共和党が連邦政府機関の閉鎖を選択した」と共和党を非難。同時に、「債務上限問題で交渉はしない」と繰り返した。共和党筋によると、政府機関の閉鎖は1週間以上継続する可能性があるという。

ただ、ウォールストリートは政府機関の閉鎖よりも債務上限問題の行方により注目している。ルー米財務長官が指摘したように特別会計措置が失効する10月17日前に債務の上限が引き上げられないと米国は「selective default」に陥るリスクも上昇する。予算協議では影をひそめていたポール・ライアン下院予算委員会委員長は「債務上限問題協議の開始を望んでいる」とし、「マーリー上院予算委員長と債務に関して協議した」と明らかにした。また、債務上限に期限があることから予算交渉においても同時に行動を強いられることになるだろうと指摘。債務上限問題が解決することにより、予算案でも歩み寄りが見られることになる。そうなると、政府機関の閉鎖は続いてせいぜい17日前までといえる。

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、政府機関の一部閉鎖や債務上限問題などといった瀬戸際政策で「米国にはトリプルAを保持する価値はない」との見解を示している。最近の予算・債務上限問題協議の手詰まり感は不透明性を拡大させ米国に対する信頼、投資などに影響を及ぼすと指摘した。S&Pは、今回、格下げする可能性を示唆していないが、10月中旬までに債務に関する合意がされず米財務省による支払いが滞ると米国史上初めてデフォルトに陥ることになると警告した。米国のデフォルトによる市場への影響は計り知れないが、ドルや米国債に依存している世界の金融市場を混乱させることは確かだ。

米国政府機関閉鎖のひとつの問題は連邦政府機関による経済指標の発表などが混乱すること。米労働統計局(BLS)は声明の中で政府機関閉鎖のあいだ指標の公表をしないことを明らかにしており、政府機関閉鎖が続いた場合4日の9月雇用統計の発表はない。商務省による指標の発表もない。

■発表延期の可能性がある米国経済指標

■10月

4日:9月雇用統計
8日:8月貿易収支、JPLT求人労働異動調査
9日:8月卸売り売上高
10日:9月輸入物価指数・週次新規失業保険申請件数
11日:9月小売売上高・生産者物価指数、8月企業在庫

《KO》

 提供:フィスコ

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