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【経済】東電・中部電の包括提携でエネルギー業界の連携が加速か


東京電力<9501>と中部電力<9502>は7日、燃料調達と火力発電分野での包括的な提携の協議に入ることで基本合意したと正式発表した。
燃料調達から火力発電所の運営までを一体的に担う新たな共同出資会社を今年度中に折半で設立するという。既存の火力発電設備やLNG調達契約を新会社に移すかどうかは決まっていない。
包括提携は、政府が1月に認可した東電の新総合特別事業計画(再建計画)の柱として盛り込まれており、東電は6月以降、中部電、関西電力<9503>、東京ガス<9531>、大阪ガス<9532>、JXホールディングス<5020>の5社と交渉を進め、交渉先に老朽火力発電所の建て替えや液化天然ガス(LNG)の共同調達などを打診していたが、最終的にLNGの調達規模の大きい中部電で決着した。
両社は、老朽火力発電所を最新の高効率発電所に建て替えることなどで発電コストの削減を図る。また、火力発電の燃料となるLNGの調達量で国内首位の東電と2位の中部電の提携が実現すれば、両社合わせて約4000万トンと世界最大規模の調達元として価格交渉力・燃料調達力の強化も見込まれ、長引く原発停止で膨らむ火力発電の燃料費を減らすことも可能になる。さらに、天然ガス田への共同投資やLNG基地の共同運用を検討するほか、海外発電事業や国内のガス事業の共同実施も視野に入れている。
東電は原発事故の処理や損害賠償に多額の費用を必要とし資金難に直面している上、国が株式の過半数を握っているため、中部電は出資比率を50%ずつとすることを前提とし、事故の関連債務は東電が負担することは約束させつつ、最大の消費地である首都圏での収益基盤を強化していく。
両社は今年度末までに資産査定を行った上、詳細な事業計画を詰めて最終合意を目指す。
中部電と燃料調達などで親密な関係にある大阪ガスも今後の協議次第で提携先として加わる可能性もあるといい、2016年の電力小売り自由化による競争激化が見込まれるなか、これをきっかけにエネルギー業界の地域・業種を超えた連携が加速しそうだ。

《YU》

 提供:フィスコ

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