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NYの視点:FRBは緩やかな利上げ軌道貫く可能性、トランプ米大統領は批判も


今週、米ワイオミング州ジャクソンホールでカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムが開催される。投資家は、このシンポジウムでの、パウエル連邦邦準備制度理事会(FRB)議長の演説に焦点をあてている。FRBはまた、今週、7月31日から8月1日にかけて開催された連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を公表する。議事録はFOMCの利上げ軌道を確認するために重要視されている。FRBはこの会合で、市場の予想通り金利を据え置いた。しかし、経済の見通しを引き上げ9月の利上げを示唆。年あと2回の利上げ見通しを後押しするタカ派的な内容となった。

次回9月FOMCでの利上げはほぼ確実視されている。また、4-6月期の国内総生産(GDP)が4.1%の成長を示し、7-9月期のGDPも3%台、2018年通年でも3%台の成長が予想される中、9月を含め12月の利上げの見通しも強まりつつある。

そんな中、米国のトランプ大統領は先週17日、ニューヨーク、ハンプトンで開催された非公式の資金集めのイベントで、共和党政治献金者に向けてFRBが実施した利上げを批判、利上げの必要はなく、一段の緩和策を望んでいると語ったと報じられた。FRBのパウエル議長が低金利政策を好んでおり、引き締めに転じるとは思っていなかったと語ったという。

FRBはトランプ大統領が就任した2017年1月以降、6回の利上げを実施している。前オバマ大統領下では、1回。FRBはさらに、本年あと2回、来年2019年には3回の利上げが想定されている。

トランプ大統領は7月にCNBCとのインタビューでも、FRBの利上げに難色を示していた。同時に、FRBの独立性も尊重する姿勢を表明。トランプ大統領は中間選挙前、金利を低水準に据え置きたい意向があるほか、貿易摩擦の中で、利上げによるドル高が米国貿易に不利に働いていると考えていることが背景にあると見る。

パウエル議長のジャクソンホールでの証言では、トランプ大統領の見解に対するFRBの対応に焦点が集まる。FRBはあくまでも独立機関であるため、経済の回復に伴い、中立を目指した緩やかな利上げを継続する方針を貫く可能性が強いと考える。ドルも短期的には伸び悩む可能性があるものの、中長期的いは依然、上昇基調にあると考える。

《CS》

 提供:フィスコ

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