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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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9989 サンドラッグ

東証P
4,522円
前日比
-3
-0.07%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
19.4 2.14 2.52 1.26
時価総額 5,396億円
比較される銘柄
マツキヨココ, 
カワチ薬品, 
薬王堂HD
決算発表予定日

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帰ってきた「インバウンド関連」、爆騰気配の"本命&穴株"総ざらい <うわさの株チャンネル>


―アベノミクス復活を賭した闘いへ、2017年夏・訪日客大挙到来が投げかける光―

 8月お盆シーズンで株式市場への参加者が限られるなか、閑散相場の間隙を縫うようにテーマ買いの新たな流れが形成され始めた。ここにきてにわかに活力を取り戻しつつあるインバウンド関連がそれだ。かつての中国人観光客などの「爆買い」に反映されるダイナミズムはやや減退してはいるものの、日本を訪れる外国人観光客数自体に陰りはなく、この訪日客特需で潤う銘柄群に改めてマーケットの視線が向かっている。

●インバウンド促進は国策テーマの“隠れ1等賞”

 日本政府観光局が16日に発表した7月の訪日外客数は前年同月比16.8%増の268万1500人。昨年7月と比較して38万人以上増加し、単月としての過去最高を大幅に更新した。夏本番を目前に、多くの国や地域で学校などが夏休み期間に入り、家族での旅行需要が高まるなか、航空路線の増便や訪日クルーズの就航などが、観光客の増勢を後押しした格好だ。

 安倍政権が推進する成長戦略としての取り組み、訪日プロモーションも効果をもたらしていることは明白で、市場関係者の間では「アベノミクスの目に見える形での数少ない成功事例といえるかもしれない」(東洋証券ストラテジストの大塚竜太氏)という声も聞かれる。安倍首相は、訪日客数について東京五輪開催年の2020年に4000万人、2030年には6000万人を目指す計画を掲げており、この国を挙げての“観光立国”を目指す動きが株式市場でも強力な物色テーマとして、幅広い業種や銘柄に光を当てている。東京五輪開催年をひとつのメルクマールに「政府によるインバウンド拡大に向けた施策が減速することはない」(大塚氏)との読みも働く。

●資生堂の急騰生んだインバウンド化粧品需要

 インバウンド需要の復活を意識させたのは、資生堂 <4911> が今月9日に発表した17年12月期業績予想の上方修正だ。同社が展開する中高価格帯のブランドがインバウンド需要などを背景に好調を極め全体収益に貢献、今期の営業利益は会社側の従来計画である455億円を100億円以上も上回る560億円まで増額され市場の耳目を集めた。株価は決算発表の翌日10日に592円高の4477円まで買われる場面があり、その後も上値指向を続け過去最高値圏で強調展開を続けている。

 日本の化粧品は中国人観光客などに大人気を博しており、「化粧品の輸出額と輸入額が逆転したことにも反映されているように、日本人がフランスの化粧品を買う以上に、今は中国人などが日本のそれを買いまくる状況。いったん日本で購入した後は、越境ECによるリピーターに変わり継続的な買い需要が発生する」(松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏)と指摘されている。

●秋相場で物色動向180度急旋回の可能性も

 もちろん資生堂だけではない。JAL <9201> やANAホールディングス <9202> など航空会社や、格安航空券を扱うエイチ・アイ・エス <9603> 、テーマパークの草分けであるオリエンタルランド <4661> 、ドラッグストア大手のサンドラッグ <9989> などインバウンド消費の追い風を享受できるポジションに位置する銘柄には新値街道を走っているものが少なくない。「地政学リスクも、訪日客の動向に影響を与えていないことが分かる。1人当たりの単価は伸び悩んでも総数が増えていることで市場のパイは縮まらず、インバウンド消費の恩恵は続く」(窪田氏)との見方が強い。

 さらにマーケットの前線では、「人工知能(AI)や半導体、有機EL、自動運転、フィンテック、情報セキュリティーといったテック系のテーマは、その成長性は理解されてもこれまでの相場で食傷気味となっていて、笛吹けども踊らずという認識を持っている。それだけに、いったんは“爆買い終了”でテーマ性が消えたと思われたインバウンドが復活してきたことは、感覚的には新鮮な印象を受ける」(国内中堅証券営業体)という現場の声がある。これは今の地合い、そしてこれから訪れるであろう市場の風景を物語っているかもしれない。秋口の相場では、普通に考えれば有機ELやリチウムイオン電池関連が本命と思われるが、実際、物色動向が180度急旋回する可能性も念頭に置いておくところだ。

●上値余地大の水準訂正予備軍が軒を連ねる

 インバウンド関連の範疇にある銘柄は、まだまだ出遅れているものが多いのは事実で、それだけに上値余地を内包する銘柄の宝庫といえる。

 高島屋 <8233> や三越伊勢丹ホールディングス <3099> などの百貨店株は、訪日客数の拡大を背景に足もと免税売上高に回復の兆しがみえていることが、見直し人気につながることもありそうだ。また、家電量販店で駅前に大型店舗を構えるビックカメラ <3048> は同テーマの常連銘柄で下値切り上げトレンド継続に期待。ラオックス <8202> [東証2]は業績面で割り切りが必要となるが、株価位置的には大底圏にあり、収益回復色が見えてくれば動きを一変させるケースも考えられる。

●フライト、コメ兵の上値追いに目を見張る

 航空券予約サイト「空旅」などを展開するエボラブルアジア <6191> は民泊事業に展開し、共立メンテナンス <9616> はビジネスホテル「ドーミーイン」を運営する。いずれも訪日客急増による宿泊施設の不足が今後一段と浮き彫りとなるなか、底値圏にある株価はマークされそうだ。

 一方、ここ急動意しているフライトホールディングス <3753> [東証2]はスマートフォン決済のアップルペイ関連株だが、中国ネット通販最大手アリババが展開するアリペイの日本上陸が報じられたことで、株価が強く刺激されている。訪日客消費の喚起にもつながるスマホ決済の普及を先取りするような動きだ。このほか、インバウンド需要を追い風に上値追いに勢いがみられるのがコメ兵 <2780> [東証2]だ。同社はブランド品や宝飾品の中古販売を展開するが、名古屋駅前に出店した大型店が収益に貢献、中長期戻り相場のフシとなっていた昨年12月高値1630円を払拭したことで注目度が増している。

●ワットマン、タカチホは低位ならではの魅力も

 穴株的な魅力を持つ銘柄としては、まず、貴金属の買い取り再販を主力に衣料や家電などのリユース店を展開するワットマン <9927> [JQ]はコメ兵の人気波及も想定され、株価低位で個人投資家好みともいえる。また、近鉄系で三重県に路線網を持つ三重交通グループホールディングス <3232> はホテル事業も営んでおり、伊勢志摩人気が訪日客特需を取り込むとの思惑が追い風。東証信用残は信用倍率0.4倍(10日現在)と売り長で需給面も味方している。

 さらに、訪日客の行き先はひと頃よりも多様化しており幅広い地域にインバウンド消費の恩恵が及ぶことから、土産関連も注目。そのなか、本命格は菓子製造販売で業績絶好調の寿スピリッツ <2222> ということになるが、穴株素地に富むという点では土産物卸で国内最大手のタカチホ <8225> [JQ]に妙味。ワットマン同様株価低位で値動きが軽く注目となる。

 ただし、値動きが速い銘柄は上ヒゲをつけやすいという特性も併せ持っており、その点を理解したうえで機動的な売買を心掛けたい。

(中村潤一)

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