株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

9957バイテックH

業績
単位
-株
PER PBR 利回り 信用倍率
時価総額

銘柄ニュース

戻る
 

シンデンハイテ Research Memo(3):経験豊富な人材と顧客との信頼関係が最大の強み


■事業概要

1. 主な取扱商品
前述のようにシンデン・ハイテックス<3131>の主力事業は半導体や各種電子部品等の販売であるが、決算短信上のセグメントとしては、日本(2017年3月期売上高比率95.4%)、海外(同4.6%)と分けられている。また決算説明会資料の中では、商品分野として液晶(同51.8%)、半導体(同31.9%)、電子機器(同12.2%)、その他(4.1%)と分けられている。

2. 取扱商品の詳細
同社が取り扱っている主要商品の詳細は以下のようになっている。

(1) 液晶関係
a) LG Display(韓国)
LG Display社は、現在、世界最大のTFT液晶供給メーカーであり、その地位は不動のものとなっている。同社の主力ビジネスであるLG Display社のTFT液晶は、モニター向けやカーナビゲーション等の車載向け製品での採用実績がある。今後は、デジタルサイネージの取扱を行い、製品ラインナップを広げてゆくために、営業、サポートの両面を充実をさせている。

b) Goworld Display(中国)
Goworld Display社は、LCDモジュール各種(STN、TN、TFT)および静電タッチパネルの生産をしている。特に小型のカスタムLCDモジュールを得意としている。

c) ONation Corporation(台湾)
ONationは、2006年に設立されたLCDモジュールのメーカー。顧客が要望する仕様に沿ってカスタマイズした中小型のLCDモジュールを小ロットで生産しており、産業用分野・医療分野などで活躍している。また近年、LCDモジュールに加えタッチパネルやコントローラなどをトータルで求める顧客向けに開発したソリューションを提供している。

(2) カード&ボード
a) Innodisk(台湾)
Innodisk社は、組み込み市場向けフラッシュストレージおよびDRAMモジュールメーカー。長年この業界に携わってきた経験とノウハウを生かした製品開発により、高品質、高性能、高信頼性の製品を提供している。2007年より自社生産ラインを設置し、少量・多品種の生産に対応しており、顧客からのさまざまなニーズに対応すべく、社内ERPシステムを構築し、安定的な生産と品質を確保すべく努めている。また、産業用途として技術サポートに力をいれており、導入時の技術提案から技術サポート体制・不具合解析体制を整え、各分野のニーズに高いレベルで対応している。

b) TUL(台湾)
TUL社は1997年に台湾のタイペイにて操業し、一貫してITインダストリーへのソリューションとしてのグラフィックス技術を提案してきた。AMD社(旧ATIテクノロジー社)から2001年には最初のアドインボードカスタマーとしての認定も得ている。PowerColorはAMD社グラフィックプロセッサによるグラフィックカード製品であり世界のトップ3ブランドとしてのリーディングサプライブランドになっている。またTULは組み込み市場へ対応した製品も供給している。

(3) システム製品
Telit Wireless Solutions(イタリア)
Telit社はM2M(Machine to Machine)の分野で豊富な経験と高度な技術を有する世界的トップメーカー。世界8ヶ所にR&Dセンターを持ち、80ヶ国以上、5,000以上のお客様に、セルラー(2G/3G/4G)通信モジュールおよびGNSS(衛星測位)製品を中心としたハードウエアおよびソフウエアを開発・提供している。

(4) バッテリー
LG Chem Ltd.(韓国)
LG化学は一般的な化学製品からエレクトロニクス材料まで幅広く取り扱う総合化学メーカー。近年では韓国内や米国の自動車メーカーにもリチウムイオンバッテリーを提供するなど、電動カートやモバイル、ESSといったバッテリーソリューションにも注力している。

(5) 半導体
a) SK hynix(韓国)
世界トップクラスのメモリーメーカーであるSK hynix社は、最良の技術開発力と同時に世界最大の DRAM 設備を備え、世界中の顧客に最良の製品・価格および優れたサービスを提供している。最近では、NAND フラッシュにも注力している。

b) GigaDevice Semiconductor(中国)
GigaDevice社は、中国に本社を置くNVM(不揮発性メモリ)デバイスの大手ファブレスメーカー。2014年には中国ICデザイン賞を受賞するなど、米国シリコンバレーや台湾、韓国で豊富な実務経験を持った開発陣が高い技術力で先進的なメモリ関連チップの開発に従事しており、高速で低電力なNORフラッシュ製品やNANDフラッシュからMCU製品まで幅広く提供している。

各種商品の中でも、LG製液晶モジュールの国内販売では同社がトップシェアであり、SK hynix製半導体でも現在は日本での取扱商社は同社とバイテックホールディングス<9957>だけになっている。またAMD製CPUでも同社は国内トップシェアとなっている。

各商品の利益率はまちまちであるが、顧客の要望によってモジュール化したような場合には当然だが利益率は高くなる。同社では現在、単なる商品販売だけでなくこのような高付加価値商品の販売に力を入れている。

3. 特色、強み
(1) 独立系商社
一般に半導体や電子部品等の商社には、外資系商社、メーカー系商社そして同社のような独立系商社の3つの形態がある。

外資系商社は主に外国製品を日本のユーザー向けに販売する商社だが、特定の商品に特化している場合が多く、取り扱う商品(数)は限られている。またメーカー系商社は、日本メーカーが自社製品を販売するために資本投下して設立したものが大部分であり、当然だが扱う商品は親会社または関連会社の商品が大部分を占める。また大手メーカーの場合は、複数社の販売会社(商社)を擁しており、各商社ごとに販売先(業種や会社)が決められている場合も多い。

これに対して同社のような独立系商社は、独自の仕入ルート・販売ルートを持つことが可能であり、世界中から優れた商品を仕入れ、国内優良顧客へ販売することができる。さらに多様な商品構成を持っていることから、最適なソリューションを顧客に提供できるメリットがある。また独立系であることから、同じ機能の製品であってもA社製からB社製へと仕入先を機敏に変更することも可能であり、特定のメーカーに過度に依存して一蓮托生となるリスクは少ない。

(2) プロフェッショナルな人材
同社の人材の多くは、創業以前から半導体・電子部品業界に関わっており、その経験、知識、人脈などは同社にとって大きな財産である。また単に商品を売るための営業やマーケティングの人材だけでなく、設計・技術・物流などにおいてもプロフェッショナルな人材がそろっているのも同社の特色であり強みと言える。さらにこれらの社員を有効活用するために柔軟な組織体制となっており、迅速かつ正確な状況判断と意思決定を行うことが可能となっている。これにより、新規商材への進出や撤退が臨機応変に行われているのも同社の強みと言えるだろう。

(3) 仕入先や顧客との信頼関係
人材に関してのもう1つの大きな強みは、創業者である城下氏を始めとして、多くの幹部社員が主要な仕入先や販売先と強い信頼関係で結ばれていることだ。半導体や電子部品の商売においては、機能と価格が重要なのは言うまでもないが、それ以外にも担当者同士あるいは企業同士の信頼関係も大きなウエイトを占める場合が多い。これらの信頼関係は長い間に培われるものであり、一朝一夕に獲得出来るものではなく、同社の多くの幹部社員がこのような深い信頼関係を顧客や仕入先と維持していることも目に見えない同社の大きな特色と言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《MH》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均