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9824 泉州電業

東証P
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泉州電業 Research Memo(3):2017年10月期は14.2%の営業増益。手元現預金は154億円と潤沢


 

■業績動向

1. 2017年10月期の連結業績
(1) 損益状況
泉州電業<9824>の2017年10月期の連結業績は、売上高で前期比10.8%増の74,956百万円、営業利益で同14.2%増の3,202百万円、経常利益で同16.0%増の3,455百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同44.5%増の2,289百万円となった。期中の平均銅価格は709千円/トン(前期567千円/トン)であった。

銅価格の上昇(25.0%)により売上高は販売数量以上に増加した。このため売上総利益率は16.0%(前期17.0%)へ低下したが、販管費の伸びを1.2%に抑えたことから営業利益は前期比で14.2%の伸びとなった。また営業外損益では、前期に35百万円の為替差損(営業外費用)を計上したのに対して、今期は20百万円の為替差益(営業外収益)を計上したことなどから、経常利益は16.0%増となった。また前期に計上した特別損失(固定資産除去損73百万円及び子会社の減損損失187百万円)が消失したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は44.5%の大幅増となった。

期間中の設備投資額は3,413百万円、減価償却費は416百万円であった。投資の主な内訳は、大阪物流センター用土地1,300百万円、埼玉営業所用土地600百万円、東京西営業所用土地460百万円、高松支店用土地220百万円、川崎社宅用建設費用550百万円、システム関連投資130百万円などで、ほとんどが土地の取得であった。

(2) 財務状況
2017年10月期末の資産合計は前期末比6,913百万円増の63,750百万円となった。流動資産は同3,464百万円増の42,527百万円となったが、主に現金及び預金の減少427百万円、受取手形及び売掛金の増加2,687百万円などによる。固定資産は同3,449百万円増の21,223百万円となったが、主に設備投資による有形固定資産の増加2,905百万円、投資その他の資産の増加576百万円などによる。

負債については、負債合計が前期末比4,554百万円増の26,664百万円となった。流動負債は同4,441百万円増の24,003百万円となったが、主に支払手形及び買掛金の増加4,251百万円による。固定負債は同114百万円増の2,661百万円となったが、主に退職給付に係る負債の増加69百万円などによる。純資産合計は、主に利益剰余金の増加1,885百万円などにより、同2,359百万円増の37,086百万円となった。

(3) キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは3,035百万円の収入であったが、主な収入は税金等調整前当期純利益3,468百万円、減価償却費416百万円、仕入債務の増加4,229百万円等で、主な支出は売上債権の増加3,835百万円等による。

投資活動によるキャッシュ・フローは3,248百万円の支出であったが、主に有形固定資産の取得による支出3,250百万円が主要因。財務活動によるキャッシュ・フローは407百万円の支出であったが、主に配当金の支払額404百万円が主要因。

この結果、現金及び現金同等物は2017年10月期で578百万円減少し、期末残高は14,833百万円となった。

2. 2017年10月期の商品別概況(単体ベース)
商品別の状況(単体ベース)は以下のとおりであった。

(1) 機器用・通信用電線
取扱商品の中では比較的付加価値が高く、銅価格の変動の影響が少ない商品である。売上高は26,976百万円(前期比10.5%増)となった。主な向け先である半導体製造装置関連、工作機械関連などが比較的好調であったことから、数量ベースでも増加しており、粗利額も増加した。

(2) 電力用ケーブル
主に建設用(ビル、工場、病院及び学校等の大型施設など)に使われる電線であるが、競争も激しく利益率は低い。需要は予想されたほど伸びず数量ベースではほぼ横ばいであったが、銅価格の影響で売上高は21,895百万円(同12.2%増)となった。

(3) 汎用被覆線
主に電力用より細い電線で、住宅などに用いられるが、電力用ケーブルと同様に銅価格の影響を受けやすい。電力用ケーブルと同様に、数量ベースではほぼ横ばいであったが、銅価格の上昇により売上高は7,742百万円(同12.6%増)となった。

(4) その他電線
主に中小メーカー向けの銅裸線の販売であるため、販売価格はほぼ銅価格にスライドする。そのため、売上高は3,584百万円(同10.9%増)であったが、数量ベースでは減少しており粗利額も減少した。ただし、売上金額が少ないこと及び、利益率が低いことなどから全体の利益に与える影響は小さい。

(5) 非電線
電線以外の商品が含まれる。各種の加工品、付属品、周辺機器などで、主要製品はソーラー関連の部品及び加工品※とワイヤーハーネス関連だが、銅価格の影響は小さく相対的に利益率の高い部門である。売上高は10,208百万円(同8.9%増)となり、粗利額も増加、全体の増益に寄与した。同社が注力している加工品の売上高は前期比で増収となった。

※ソーラー関連は、ケーブルだけの場合は「電力用ケーブル」に、コネクター及び加工品が付いた場合は「非電線」に区分けされている。


以上のような状況から、電力用ケーブル、汎用被覆線、その他電線では粗利額が低迷したものの、付加価値の高い機器用・通信用電線、非電線では粗利額は増加し、全体の増益に寄与した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《HN》

 提供:フィスコ

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