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9824 泉州電業

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泉州電業 Research Memo(4):売上は微増、各利益は減益


■決算動向

(1) 2015年10月期の連結業績

○収益状況
泉州電業<9824>の2015年10月期の連結業績は、売上高で前期比0.3%増の76,132百万円、営業利益で同5.6%減の2,345百万円、経常利益で同3.4%減の2,740百万円、当期純利益で同5.6%減の1,570百万円となった。売上高は8月までは予想を上回るペースで推移していたが、9月から失速傾向となり10月は前年同月比で約15%減と急減した。秋以降の急失速の明白な理由は見当らないが、主力の機器用・通信用ケーブルが設備投資関連の需要が後ズレしたことが要因と考えられる。売上高の伸びが微増にとどまったことから、各利益は前期比で減益となった。平均銅価額は748千円/トン(前期764千円/トン)であったので、若干の減収要因ではあったが、利益に対する影響はほとんどなかった。

売上総利益率は前期比0.5ポイント増の14.2%と改善した。比較的利益率の高い機器用・通信用電線及び非電線(オリジナル商品などを含む)の対売上高構成比が上昇したことで全体の利益率が改善した。

一方、販管費は新規連結子会社の影響や人件費、その他経費の増加により対売上高比率が0.7ポイント上昇した。結果、営業利益率は3.1%と前期比0.2ポイント悪化し、営業減益につながった。受取利息の増加8百万円及び受取配当金の増加17百万円などによる営業外収支の増加もあり、経常利益は前期比3.4%減となった。特別損益では、有価証券売却益79百万円の計上などから特別利益は前期比91百万円増加したが、一方で特別損失も固定資産(広島支店跡地)売却損132百万円の計上などから138百万円増加した。この結果、当期純利益は前期比5.6%減となった。

商品別の状況(単体ベース)は以下のとおりであった。

(機器用・通信用電線)
売上高は前期比3.0%増の25,174百万円となったが、中間期時点での計画が同4.4%増であったことから計画は下回った。下半期だけ見れば、前年同期比は2.3%増にとどまった。主力のFAケーブルでは、半導体製造装置関連は米国向けは好調であったが、国内向けが不振であったことから同社の売上高もやや停滞した。その一方で、液晶関連、工作機械向け、自動車関連などが比較的好調であった。この分野全体は、内容が悪いわけではなかったが、当初の予想ほどは伸びなかった。

(電力用ケーブル)
主に建設用(ビル、工場、病院及び学校等の大型施設など)に使われる電線であるが、利益率は低い。中間期時点では前期比2.5%増を予想していたが、結果は同0.5%増の24,797百万円にとどまった。上半期は病院、学校などでの耐震化のための建て替えによる需要が好調であったことから、前年同期比6.6%増であったが、下半期に入ってから失速し、下半期は前年同期比で5.5%減となった。

(汎用被覆線)
主に電力用より細い電線で、住宅などに用いられる。中間期時点から住宅関連において消費税増税の反動が予想されたので前期比2.8%減を見込んでいたが、消費税増税の反動が予想以上であったことから、結果的には同4.1%減の8,193百万円となった。

(その他電線)
主に中小メーカー向けの銅裸線の販売である。一部製品の値上げを行ったことから当初から販売数量減を予想し、中間期時点で前期比10.8%減を見込んでいたが、結果は同15.5%減の4,545百万円と予想以上の減収となった。減収率は大きいが、売上金額が少ないこと及び、利益率が低いことなどから利益に与える影響は少ない。

(非電線)
電線以外の商品が含まれる。各種の加工品、付属品、周辺機器などで、主要製品はソーラー関連の部品及び加工品※とワイヤーハーネス関連だが、相対的に利益率の高い部門である。上半期は予想以上に好調(前年同期比9.9%増)であったことから中間期時点では前期比3.1%増を予想していたが、下半期に入ってからペースダウンし、通期では同2.3%増の10,023百万円となった。ただし他の部門の売上高が伸び悩んだことから、売上高比率は13.9%(前期13.4%)へ上昇し、全体の売上総利益率改善に寄与した。
※ソーラー関連は、ケーブルだけの場合は「電力用ケーブル」に、コネクター及び加工品が付いた場合は「非電線」に区分けされている。

○財務状況
2015年10月期末の資産合計は前期末比330百万円減の59,839百万円となった。流動資産は同219百万円増の41,499百万円となったが、主に現金・預金の増加1,286百万円、売上債権の減少1,531百万円などによる。固定資産は同549百万円減の18,340百万円となったが、主に新規子会社買収に伴うのれんの増加361百万円や投資有価証券の減少306百万円などによる。

負債については、負債合計が前期末比1,537百万円減の25,448百万円となった。流動負債は同1,380百万円減の23,164百万円となったが、主に仕入債務の減少1,169百万円や未払法人税等の減少178百万円等による。固定負債は同158百万円減の2,283百万円となったが、主に退職給付に係る負債の減少242百万円による。純資産合計は、主に利益剰余金の増加1,425百万円やその他有価証券評価差額金の減少133百万円などにより、同1,207百万円増の34,391百万円となった。

○キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは2,403百万円の収入であったが、税金等調整前当期純利益2,721百万円、減価償却費432百万円、売上債権の減少1,753百万円等の収入に対して、仕入債務の減少1,271百万円、商品の増加55百万円、法人税等の支払い1,321百万円等の支出による。

投資活動によるキャッシュ・フローは895百万円の支出であったが、主に有価証券等の償還や売却による収入826百万円に対して、子会社株式の取得616百万円、有形固定資産の取得404百万円、投資有価証券の取得520百万円等の支出が主要因。財務活動によるキャッシュ・フローは711百万円の支出であったが、主に自己株式の取得177百万円、配当金の支払い377百万円が主要因。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《HN》

 提供:フィスコ

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