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9782 ディーエムエス

東証S
1,750円
前日比
-9
-0.51%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
5.7 0.61 2.86
時価総額 127億円
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決算発表予定日

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トライSTG Research Memo(2):ダイレクトマーケティング支援事業が収益の柱


■事業概要と市場環境

(1)事業概要

トライステージ<2178>の事業は「ダイレクトマーケティング支援事業」「ダイレクトメール発送代行事業」「その他事業」の3つのセグメントで構成されている。このうち「ダイレクトメール発送代行事業」は2012年11月に子会社化(出資比率86.8%)したメールカスタマーセンター(株)(以下、MCC)の事業となり、「その他事業」は2016年3月より子会社化した(株)日本百貨店(出資比率100.0%)の事業となる。2017年2月期第2四半期累計における事業別構成比を見ると、「ダイレクトマーケティング支援事業」が売上高の72.9%、セグメント利益の92.7%を占める収益柱となっている。

「ダイレクトマーケティング支援事業」では、テレビ通販事業者に対して、テレビ通販番組枠やCM枠の提供、販売戦略のプランニング、番組の制作、商品の受注(コールセンターの斡旋)、放送後の効果分析や物流・決済、顧客管理の支援に至るまで、ダイレクトマーケティング(通信販売)に必要なあらゆるサービスを提供している。

テレビ通販の放送枠に占める同社のシェアは2割強とトップにあり、媒体別の売上構成比では地上波で約6割、BS放送で約3割、その他(CATV、CS)で1割弱となっている。また、同事業における継続的な顧客数は100社程度で、このうち上位5社で売上高の5割弱を占めている。主要顧客はキューサイ(株)、(株)富山常備薬グループなどが挙げられ、いずれも全体の売上構成比で10%を超えている。また、顧客を業種別で見ると、健康食品、美容(化粧品)、生活雑貨業種が大半を占めているのが特徴だ。また、ここ最近は会員誘導型企業(スポーツジムなど)や通信教育サービス企業など新規業種やクライアントの開拓にも注力している。新規クライアント(取引開始後2年以内)の売上高構成比率で見ると、2015年2月期の8.4%から2017年2月期第2四半期累計では13.9%まで上昇しており、顧客の裾野が広がっていることがうかがえる。

「ダイレクトメール発送代行事業」は、連結子会社のMCCで展開している。顧客企業が発送するパンフレットやカタログなど軽量物を入れたダイレクトメールの発送代行業務を主に行っている。顧客企業数は600社を超え、年間約2億通の発送代行を行っている。日本郵便(日本郵政<6178>)の「ゆうメール」やヤマト運輸(ヤマトホールディングス<9064>)の「クロネコDM便」を利用し、大口割引適用を受けることによって顧客企業の発送コスト削減を実現している。東京本社のほか、札幌、新潟、名古屋、大阪、福岡の6拠点で営業展開を行っている。

発送代行業務のみでは付加価値が低いため、企画や印刷、発送物の封入作業など川上工程にも取り組んでいる。また、現在は代理店経由の売上高が大半を占めるが、収益性を向上していくため直取引比率の向上にも取り組んでいる。業界トップはディーエムエス<9782>で年間3.1億通を取り扱っており、同社は業界第5位となっている。

「その他」事業として、日本百貨店の小売事業が2016年3月より加わっている。日本各地の特産品や名産品、雑貨等を取り扱う店舗「日本百貨店」を東京都、神奈川県に合わせて8店舗出店している(うち、3店舗は2016年3月以降出店)ほか、7月にオンラインストア「日本百貨店おんらいん」もオープンしている。

2016年8月末時点のグループ会社は、連結子会社が4社(MCC、日本百貨店他2社)と持分法適用関連会社2社(MERDIS、TV Direct)で構成されている。なお、前期まで持分適用法関連会社であったタイのROSE STAGE CO.,LTD(以下、ROSE STAGE)については、タイにおける経営資源を7月に出資したTV Direct Public Company Limited(以下、TV Direct:7月に株式の15%を取得)に集中するため、当第2四半期に株式をすべて売却している。

(2)市場動向と同社の強み

一般に「ダイレクトマーケティング」とは、テレビやインターネット等のメディアに電話番号やURL等のコンタクト先を明示し、電話やEメール等で消費者と直接型・対話型のコミュニケーションを取り、商品やサービスを販売するマーケティング手法を指す。いわゆる通信販売である。

2015年の国内の通販市場は全体で約8.4兆円と前年比4%増になったとみられ、媒体別で見るとECが6.5兆円と全体の7割強を占め、次いでカタログ通販が1.2兆円、テレビ通販が5,200億円規模となっている。ダイレクトマーケティング市場全体の直近10年間の年平均成長率(2005年?2015年)が約9%であるのに対して、テレビ通販市場は約4%と緩やかとなっており、2014年以降はほぼ横ばい水準で推移している。一方で、EC市場はインターネットやスマートフォンの普及に伴い、年率10%を超えるペースで成長が続いている。ただ、ECの中にはテレビの通販番組を見てWeb経由で予約するケースも一定割合存在するため、実際のテレビ通販市場はもう少し大きい規模になっていると思われる。

競合企業は大手広告代理店から番組制作会社まで様々だが、いずれもテレビ通販のバリューチェーンの一部を提供するにとどまっている。ダイレクトマーケティング支援サービスに関して商品企画や番組制作などの川上から顧客サポートといった川下分野まで総合的に提供できる企業は同社のみであり、強みともなっている。

また、同社の強みは、業界トップのテレビ番組放送枠を確保しており、過去から蓄積した膨大なデータの分析に基づき、顧客に最適な媒体を提供できること、長年培った映像制作実績により、商品の特性に応じて「売れる」番組を制作できるノウハウを持つこと、複数のコールセンターと提携して機動的な受注体制を編成し、消費者の満足度を上げ優良顧客化していくノウハウを持つこと、などが挙げられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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