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9753 アイエックス・ナレッジ

東証S
1,129円
前日比
+9
+0.80%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.9 1.29 2.66
時価総額 122億円
決算発表予定日

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IXナレッジ Research Memo(5):2017年3月期は売上横ばいも、不採算案件なくなり大幅増益を達成


■業績動向

1. 2017年3月期通期業績の概要
アイエックス・ナレッジ<9753>の2017年3月期通期の業績は、売上高が前期比1.1%減の17,310百万円、営業利益は同64.6%増の593百万円、経常利益は同57.5%増の633百万円、当期純利益は同96.0%増の407百万円となり、売上げはほぼ横ばいながら各利益は大幅な増益を達成した。

売上高が前期比で1.1%減の微減収になったのは、大手損保会社の大型案件の見送り、前期不採算案件の影響による機会損失、大容量ストレージ向け組込開発の案件縮小などのマイナス要因が、メガバンク向け次期システム開発での担当範囲拡大や既存証券・保険分野での受注拡大などのプラス要因を上回ったことが主要因。売上原価は、前期比3.3%減の14,479百万円へ減少した。これは、担当取締役直轄のPMO室の設置でプロジェクト支援や見積り審査のチェック強化などにより不採算案件が大幅に減少したことや収益構造を変革するという経営方針のもとで選別受注を推進したことにより収益性が改善したことが寄与したためだ。販管費は2,237百万円(前期比2.8%増)と伸びは抑えられた。これらの結果、営業利益は前期比64.6%増という大幅な増益を確保し、営業利益率は前期の2.1%から3.4%へ1.3ポイント改善した。

2. サービス品目別及び主要ユーザー別の動向
サービス品目別の売上高の状況を見ると、コンサルティング及びシステム・インテグレーション・サービスでは、大容量ストレージ向け組込開発の案件縮小などのマイナス要因があったものの、メガバンク向け次期システム開発で担当範囲が拡大したことや、既存の証券や保険向けの受注が堅調に推移したことにより、売上高で前期比2.4%増の15,166百万円と増加した。内訳をみると、コンサルティングサービスが同212百万円増の1,083百万円へ増加、システム開発は同138百万円増の14,083百万円となった。

一方、システムの保守・運用のシステムマネージメントサービスは、銀行システムにおける基盤・環境構築の受注が減少したことなどにより、同20.3%減の2,131百万円へ減少した。また、商品販売も低調に推移した。

主要顧客の動向をみると、みずほフィナンシャルグループのほか、フコクグループ<5185>や富士通グループ<6702>などで売上高が拡大した。一方、日立グループ向けは大容量ストレージ向け組込開発の案件縮小により減少を余儀なくされた。

3. 財務状態
(1) 貸借対照表関係
貸借対照表を見ると、2017年3月末における総資産は8,694百万円となり、前期末に比べ125百万円減少した。これは流動資産が前期末に比べ171百万円減少したことが主要因。現金及び預金が599百万円増加したものの、有価証券の減少290百万円、仕掛品の減少387百万円などが上回ったためだ。

負債合計は前期末に比べ443百万円減少して4,653百万円となった。内訳を見ると、流動負債は、主に受注損失引当金が290百万円減少したことにより、前期末に比べ368百万円減少した。固定負債も同74百万円減少したが、これは主として長期未払金の減少46百万円と長期借入金の減少60百万円による。

純資産は4,040百万円となり、前期末に比べ318百万円増加した。これは、資本剰余金の減少376百万円があったものの、自己株式の減少による増加277百万円、当期純利益計上による利益剰余金の増加301百万円、その他有価証券評価差額金の増加116百万円のプラス要因があったためだ。

(2) キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フローの状況を見ると、2017年3月末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ309百万円増加し3,510百万円となった。営業キャッシュ・フローは、受注損失引当金の減少290百万円などのマイナス要因があったものの、税引前当期純利益の計上612百万円、たな卸資産の減少387百万円等のプラス要因でカバーし、588百万円の収入となった。一方、投資キャッシュ・フローは10百万円の支出となった。関係会社株式の売却による収入23百万円があったものの、有価証券の取得による支出38百万円があったことが主な要因である。また、財務キャッシュ・フローも268百万円の支出となった。これは、配当金の支払額106百万円、自己株式の取得による支出98百万円、長期借入金の返済による支出60百万円によるものだ。

(3) 経営指標
健全性を表す自己資本比率は46.5%となり、前期末に比べ4.3ポイント上昇したほか、流動比率も前期末の274.0%から313.8%へ上昇した。収益性に関しては、ROE、ROA、営業利益率のすべての指標において大幅に改善した。

4. 2018年3月期見通し
2018年3月期業績については、売上高で前期比1.8%増の17,624百万円、営業利益で同16.3%増の690百万円、経常利益で同14.5%増の724百万円、当期純利益で同17.7%増の479百万円と増収増益を予想する。

同社では2018年3月期の重要な取り組みのポイントとして、1)中核事業の拡大のために今後成長が期待される事業に経営資源を集中する、2)次期成長事業の創出のために顧客との共創を促進する、3)働き方改革を始めとする人材に関する事業基盤を強化する、の3点を挙げている。

1)の今後成長が期待される顧客業種としては、産業・サービス、情報・通信の市況が良い。産業・サービス業種において車載・映像センサーなどの組み込みシステムで拡大を狙うほか、物流倉庫向けシステムの再構築案件を獲得に向けて活動中である。情報・通信業種では、通信会社による受入検証の大型案件を受注済みであり、通信会社のシステム統合案件に関しても受注に向けて活動中である。なお、最大の売上げを占める金融・証券業種においては、マイナス金利の影響とメガバンク向け次期システム開発収束により減少傾向だが、市場系及び生損保の新規案件を狙う方針だ。

3)の人材基盤整備に関しては、強みである人材マネジメントにさらに磨きをかける。まずは時間外労働の抑制や有給休暇取得の推進など働き方改革を推進しつつ、生産性の向上や間接コストの削減なども合わせて行う。どうしても人件費増になってしまう部分に関しては、顧客に受注単価の交渉も行う方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)

《NB》

 提供:フィスコ

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