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9651 日本プロセス

東証S
1,080円
前日比
+8
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PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
14.5 1.02 3.52 432
時価総額 115億円
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日プロ Research Memo(3):社会インフラ分野の制御・組込システムで培った高品質・信頼性が強み(1)


■事業概要

日本プロセス<9651>は独立系のシステム開発・ITサービス企業である。電力制御、鉄道運行管理、自動車パワートレイン制御・車載情報、リモートセンシング、防災など、安全・安心が重視される難易度の高い社会インフラ分野の制御システム、及び情報家電、建設、医療など社会インフラを支える機器の組込システムの開発で培った高品質・信頼性を強みとしている。さらに得意とする画像認識・識別技術、近距離通信技術、組込技術などを融合することで、自動運転・ADAS関連、IoT関連、ネットワーク・セキュリティ関連、AI関連、ロボティクス関連、クラウド関連、医療関連などの成長分野にも積極展開している。

1. 事業セグメントの概要
事業セグメントは制御システム、自動車システム、特定情報システム、組込システム、産業・公共システム、及びITサービスの6分野としている。各セグメントの概要は以下のとおりである。

(1) 制御システム
制御システムは、エネルギー関連分野の火力発電所監視・制御システム、電力系統制御システム、配電自動化システム、交通関連分野の新幹線運行管理システム、JR在来線運行管理システム、過密ダイヤに対応した東京圏輸送管理システム(ATOS=Autonomous decentralized Transport Operation control System)などを展開している。新幹線関連では台湾新幹線にも参画している。

特に安心・安全が重視される難易度の高い社会インフラ分野であり、豊富な実績と高品質・信頼性を強みとして、顧客との強固な信頼関係を構築している。日立製作所<6501>が主要顧客である。なお電力関連は、地球環境問題を背景に火力発電所関連が減少傾向だが、一方で送配電関連が増加傾向である。

(2) 自動車システム
自動車システムは、エンジン、トランスミッション、ステアリングなど自動車の基本性能「走る、曲がる、止まる」をコントロールするパワートレイン車載制御システム、ハイブリッド電気自動車(HEV)や電気自動車(EV)など環境対応車制御システム、カーナビゲーションなど社会とつながる車載情報システム、強みとする画像処理技術を生かした自動運転・ADASの外界認識センサーシステムなどを展開している。

事故のない安全・安心なモビリティー社会の実現に貢献すべく、これまでに培った技術を結集して自動運転につながるシステム開発に取り組んでいる。主要顧客は日立オートモティブシステムズ(株)(以下、日立AMS)で、日立AMSの横浜地区戦略的パートナー3社のうちの1社に選定されている。なお現在は日立AMS経由で日産自動車<7201>関連を主力としているが、日立AMSが本田技研工業(ホンダ<7267>)系の部品メーカー3社、ケーヒン<7251>、ショーワ<7274>、日信工業<7230>を吸収合併予定(2019年10月30日基本契約締結)のため、今後はホンダ関連の受注拡大も期待されている。

(3) 特定情報システム
特定情報システムは、航空・宇宙関連、防衛関連、気象・防災・環境関連、資源探査関連として、衛星画像地上システム、画像解析システム、地理情報システム、リモートセンシングシステムを展開し、自動運転・ADAS関連の画像認識・識別システムも展開している。

強みを持つ画像認識・識別技術をベースとして、画像解析に不可欠となるAIを組み合わせて、より高度な画像利用分野への展開を図ることで、危機管理や防災など社会の安全・安心に貢献する取り組みを強化している。

(4) 組込システム
組込システムは、大型汎用コンピュータのオペレーティングシステム(OS)開発からスタートし、スマートフォン、タブレット端末、情報家電、半導体記憶装置(SSD=Solid State Drive)など、幅広い電子製品・部品の組込ソフトウェアとして、近・遠距離無線通信システム、スマートフォン組込システム、情報家電組込システム、デジタル複合機組込システム、半導体記憶装置組込システムなどを展開している。

難易度の高いファームウェアやミドルウェアのソフトウェア開発に強みを持ち、IoTに対応した建設機械や医療機器など新たな製品分野への展開も推進している。半導体関連はキオクシア(株)(旧東芝メモリ(株))のSSD関連が主力で、新規製品開発にも参画して売上拡大を推進している。自動運転・ADAS関連では外界認識センサーの基盤ソフトウェア開発などの新たな案件も受注している。IoT建設機械関連では、従来は産業・公共システムに含めていた案件を、2020年5月期から組込システムに集約した。この集約効果で請負化が進展している。

(5) 産業・公共システム
産業・公共システムは、様々なビジネス分野で企業の業務効率化を実現するアプリケーションの開発や、社会インフラを支える公共システムの開発として、駅務機器・自動券売機・自動改札機システム、ICカードシステム、コンテンツ管理システム、準天頂衛星システムなど幅広く展開している。

これまで培ってきた制御・組込技術とWeb技術を融合させ、AI関連、IoT関連、スマートシティ関連、フォトイメージング関連、ロボティクス関連、医療関連などの分野にも事業領域を拡大している。

(6) ITサービス
ITサービスは、システムの開発環境・運用環境の構築サービス、システム運用統合監視サービス、情報家電製品の動作検証サービスなど、システムに関わるトータルサポートサービスを提供している。制御・組込システムの開発・運用・保守で蓄積された技術ノウハウと提案力で、顧客との信頼関係を構築し、顧客の「モノづくり」に関わるサービス全般を包括的にサポートしている。

収益性の低い小規模保守・運用サービスからシステム構築サービスへのシフトするとともに、パブリッククラウドのシステム構築への注力など、収益力向上に向けた構造改革を推進中である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《ST》

 提供:フィスコ

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