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9619 イチネンHD

東証P
1,679円
前日比
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PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
3.6 0.70 3.57 61.21
時価総額 407億円
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決算発表予定日

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イチネンHD Research Memo(4):2018年3月期実績は計画を若干下回るも4.2%の営業増益を達成


■イチネンホールディングス<9619>の業績動向

1. 2018年3月期の業績概要
終了した2018年3月期の決算は、売上高が81,379百万円(前期比2.1%増)、営業利益が5,918百万円(同4.2%増)、経常利益が5,953百万円(同8.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が3,848百万円(同1.3%増)となった。

遊技機向けが不振であった合成樹脂は減収となったが、自動車リース関連、ケミカル、パーキングなどの主力事業が堅調に推移したことから全社売上高は前期比2.1%増となった。売上総利益率は23.6%と前期比で僅かな改善であったが、売上高が増加したことから売上総利益額は19,179百万円(同3.1%増)となった。一方で販管費は、13,260百万円(同2.6%増)にとどまった。この結果、営業利益は前期比で4.2%増となり、15期連続で増益となった。

主要セグメントの状況は以下のようであった。

(1) 自動車リース関連事業
サブセグメント別では、リース事業では、リース化が遅れている地方市場及び小口企業への拡販、既存顧客への取引深耕を積極的に進めたことなどから契約数は順調に拡大、期末の契約台数は80,955台(前期末比1,966台増)、リース契約高は31,680百万円(前期比4.1%増)、リース未経過契約残高は70,311百万円(同2.9%増)と好調であった。

自動車メンテナンス受託では、メンテナンス受託契約台数は80,025台(前期末比473台減)となった。台数が減少したのは九州地区での大手顧客(ニッポンレンタカー、約3,500台)が自前のメンテナンスに切り替えたことによるもので、それ以外の契約は順調に拡大している。この結果、メンテナンス受託契約高は5,827百万円(前期比7.1%増)、メンテナンス未経過契約残高は7,870百万円(同2.6%増)となった。燃料販売では、低燃費車の普及による影響はあったが、既存顧客へのサービス向上および新規顧客の獲得に努めたことなどから販売数量は0.9%減にとどまった。修理部門は順調に伸びているが、まだ金額が小さいため全体の損益に与える影響は少ない。このような状況から、セグメント売上高は46,901百万円(前期比3.6%増)、セグメント営業利益は3,728百万円(同7.7%増)となり、順調に推移したと言える。

(2) ケミカル事業
セグメント売上高は11,281百万円(前期比2.7%増)、同営業利益は1,280百万円(同8.6%増)となり、予想以上に堅調な結果であった。工業薬品関連の燃料添加剤の販売では、主に電力会社向けの石炭ボイラー用が堅調であった。また化学品関連では機械工具商向け(プロ向け)及び個人向けケミカル製品の販売が好調であった。また昨年度に一部製品を値上げしたこともあり、マージンが改善し営業利益は売上高を上回る伸びとなった。

(3) パーキング事業
中長期的に安定した収益基盤を築くために積極的な営業活動を行った結果、2018年3月期末の駐車場管理件数は1,213件(前期末比60件増)、管理台数は29,044台(同1,489台増)となった。新規獲得駐車場数は目標を下回ったものの、その分初期費用が少なくなったことから利益率はアップした。この結果、セグメント売上高は5,412百万円(前期比5.9%増)、同営業利益は704百万円(同20.8%増)と大幅増益となった。

(4) 機械工具販売事業
取扱アイテムの拡充、オリジナル製品の開発を促進すると同時に、商品調達コストの削減に努めた。新たに子会社化した(株)ゴンドー及び昌弘機工(株)※の売上高が寄与し、さらにネット販売も順調に増加したものの、主力である空調関係向け、計測工具、機械工具、自動車整備工具等が低調であった。これらの結果、セグメント売上高は12,912百万円(前期比2.6%増)、同営業利益は120百万円(同59.8%減)となった。

※2018年4月1日付で(株)イチネンSHOKOへ社名変更。


(5) 合成樹脂事業
新規顧客の拡大及び新商品の開発を図り、品質改善に努めた。半導体実装装置メーカー等向けのセラミックヒーターや計測装置などは順調であったが、規制強化の影響から脱却して回復が見込まれていた遊技機器向けは、需要は期待されたほど回復せず引き続き減収・減益となった。この結果、セグメント売上高は5,086百万円(前期比14.8%減)、同営業利益は112百万円(同13.5%減)となった。

(6) その他
その他商品のセグメント売上高は132百万円(前期比18.9%増)、同営業損失は44百万円(前期は10百万円の利益)となった。


設備投資により有形固定資産が増加
2. 財務状況とキャッシュ・フロー
2018年3月期末の流動資産は41,735百万円(前期末比183百万円増)となったが、主に現預金の減少153百万円、受取手形・売掛金の減少160百万円、リース投資資産の増加342百万円、その他流動資産の増加154百万円による。固定資産は76,733百万円(同3,353百万円増)となったが、主にオペレーティング・リース取引の契約増加による賃貸資産の増加2,363百万円、のれんの減少442百万円、基幹システムの開発等によるソフトウェアの増加550百万円、時価評価等による投資有価証券の増加594百万円などによる。以上から、期末の資産合計は118,498百万円となり、前期末比で3,517百万円増加した。

一方で流動負債は43,658百万円(同3,553百万円増)となったが、主に支払手形及び買掛金の減少1,164百万円、短期借入金等(1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長期借入金、コマーシャル・ペーパーを含む)の増加3,482百万円、未払法人税等の増加384百万円による。固定負債は同3,389百万円減の44,703百万円となったが、主に社債の減少5,342百万円、長期借入金の増加1,832百万円による。この結果、負債合計は88,362百万円となり前期末比で163百万円増加した。純資産合計は30,136百万円となり前期末に比べて3,354百万円増加したが、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加3,848百万円、配当金の支払による利益剰余金の減少910百万円、時価評価による「その他有価証券評価差額金」の増加374百万円等による。

2018年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは2,358百万円の収入となったが、主な収入は税金等調整前当期純利益の計上6,000百万円、減価償却費13,089百万円、主な支出は賃貸資産の純増14,019百万円など。投資活動によるキャッシュ・フローは1,328百万円の支出であったが、主に有形固定資産の取得による支出2,797百万円、研究開発施設等の有形固定資産の売却による収入等1,327百万円などによる。財務活動によるキャッシュ・フローは1,184百万円の支出であったが、主に借入金の増加(純額)やコマーシャル・ペーパーの減少、社債の償還(同)によるものである。その結果、現金及び現金同等物の期末残高は1,382百万円(前期末比153百万円減)となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《MH》

 提供:フィスコ

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