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9535 広島ガス

東証P
377円
前日比
-5
-1.31%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.9 0.39 3.18 10.47
時価総額 258億円
比較される銘柄
西部ガスHD, 
静ガス, 
邦ガス
決算発表予定日

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アクアライン Research Memo(3):全スタッフ正社員化や車両の店舗・倉庫化など独自ビジネスモデルで差別化(1


■事業概要

1. 水まわり修理市場
水まわりの緊急修理の市場規模は約800億円と推定されている。1)住宅の築年数増加による水まわり設備・商品の老朽化、2)一人暮らし世帯の増加、3)工具箱のない家庭の増加、などにより、緩やかな市場成長が続いている。一方で、地場の水まわり工事を行う工務店は高齢化などの要因で廃業が続いており、アクアライン<6173>を含む全国展開大手3社が需要を吸収して成長する構図にある。大手の中では、クラシアンの規模が大きく、TVCMなどの広告宣伝を積極的に展開し、全国に70ヶ所の営業拠点を展開する。イースマイルは関西から全国展開し、現在は全国36拠点を持ち、TVCMなどの広告宣伝を積極的に行い、リフォームや住宅販売などの事業も手掛ける。アクアラインは業界3位のポジションであり、唯一の上場企業である。全サービススタッフの正社員化や研修制度で人材を強化し、車両を店舗・倉庫と見なし拠点コストを最小化する独自のビジネスモデルで上位2社を追いかけている。

2. ビジネスモデルの特長
同社は独自のビジネスモデルの特長は、(1)集客の仕掛け、(2)24時間・全国カバー、(3)現場力(エンパワーメント)の3点に分類される。

(1) 集客の仕掛け
a) 機動的な広告宣伝
同社は「水道屋本舗」という自社ブランドを展開し、親しみやすいパンダのキャラクターで認知されている。媒体はタウンページ、Web、マグネット、ちらしなどを複数活用しており、近年は屋上や道路沿いの看板広告を増やしている。顧客獲得コストを下げるために、広告効果を分析した上で時間帯別にきめ細かく広告媒体を使い分けており、受注が多い日にはWeb広告を止めたりするオンタイム管理を徹底して行う。2019年2月期からは九州地方で試験的にTVCMを行い、3ヶ月間の放映で認知度が13%から30%まで上昇し、一定の手応えを得た。今後も地域によってTVCMが投入されることになりそうだ。

b) 業務提携先の充実
同社は「水道屋本舗」という屋号で自社運営を行う一方で、業務提携先からの受注も増やしてきた。業務提携先は、西部ガス<9536>、大阪ガス<9532>、広島ガス<9535>、ALSOK<2331>(綜合警備保障(株))、アクアクララ(株)、ジャパンベストレスキューシステム<2453>など、名だたる大企業である。2019年2月期からは東京ガス<9531>などが加わった。業務提携先が営業・顧客紹介を行い、同社が水まわり緊急修理を行うという役割分担である。現在、自社運営と業務提携先経由の受注比率は半々程度であるが、この比率を維持しながら成長と収益のバランスを取りたい考えだ。

(2) 24時間・全国カバー
a) 24時間コールセンターを自社運営
同社は24時間365日対応のコールセンターを自社運営している。コールセンターのスタッフも正社員が中心であり、顧客との最初の接点として、またはサービススタッフとのやりとりを行う“司令塔”として活躍している。同社は「正確、迅速、丁寧、スムーズ」な対応の実現を目指しており、その面でも不可欠な存在だ。以前は夜間の業務を外注にしていたこともあったが、夜間も自社運営に切り替えた後に成約率が向上したというエピソードがあり、同社スタッフのノウハウの優位性が垣間見える。

b) 北海道から沖縄まで全国でサービス
水まわり修理業界は小規模で、地域限定の業者がほとんどである。同社は全国展開する水まわり緊急修理大手3社の一角である。前述の「機動的な広告宣伝」「業務提携先の充実」「24時間コールセンター」を通じて全国から電話が入り、後述の「動く店舗・倉庫(車両)」が現場に直行する、という仕組みがあってこそ全国展開は可能となる。広告制作物や部品等の仕入れにおいてスケール効果も享受できる。

(3) 現場力(エンパワーメント)
a) 全サービススタッフ正社員化
スキルの高い人材の数で業績が規定される業界だけに、人材採用と定着化の進捗は経営の重要指標である。同社の特長の1つは、全サービススタッフ(261名、2019年2月)が正社員であることである。正社員化のメリットは、士気が高く長く会社にとどまることを前提とするため、技術の向上も期待できる。年齢層は30代から40代が多いが、50代の採用も多く伸びが高い。ちなみに同業のクラシアンは正社員比率が5割程度、イースマイルは正社員比率が2割程度と推定される。2021年2月期にはサービススタッフ400名体制を目指す。

b) IoTを活用し車両を動く店舗・倉庫化
同社は店舗(営業拠点)を持たずに、スタッフが自宅から現場に直行し直帰する。会社から貸与される車両は、GPSなどのITシステムを装備した“動く店舗・倉庫”であり、“誰が現在一番現場に近く、どんな在庫を持つのか”などが可視化されている。見積書、請求書、領収書などがすべてiPadで表示でき、車両内にあるプリンターでも印刷できるようになっており、効率的な業務が可能となっている。働き方改革が叫ばれる前から、効率的な仕事のスタイルを追求してきた先駆的企業である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《SF》

 提供:フィスコ

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