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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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9513 Jパワー

東証P
2,479.5円
前日比
-53.0
-2.09%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
6.8 0.38 3.63 70.55
時価総額 4,539億円
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IRJーHD Research Memo(5):時価総額5,000億円以上の上場企業のシェアは48.6%


■アイ・アールジャパンホールディングス<6035>のビジネスフィールド

株主と企業を結ぶコンサルティング・パートナーとして、上場企業600社以上の会社と取引実績がある。同社グループが対象としているビジネスフィールドは、SR市場、ガバナンス、投資銀行業務、証券代行業務である。

同社グループは、まずIR市場でビジネスを始めた。このビジネスフィールドでは、制度的ディスクロージャーとしての金融商品取引法関連業務や、自発的ディスクロージャーである株主通信、ディスクロージャー誌、英文IR書類等の作成、またIR支援全般として説明会開催、ミーティング設営等を行う業務がある。自発的ディスクロージャー関連事業は多額の経費をかける企業が少なくなり、市場規模も小さい。この分野のプレーヤーとしては、上場企業では宝印刷<7921>、プロネクサス<7893>があり、ほかには証券系IR会社等がある。2016年4月に(一社)日本IR協議会が発表したIR費用に関するアンケート結果を見ると、IR活動にかかる年間費用(ただし人件費は除き、郵送料等は含む)の平均は2,105万円。「500万円未満」の回答が全体の37.3%で最も多く、「500~1,000万円未満」で21.6%、「1,000~2,000万円未満」で15.0%、「5,000万~1億円未満」で5.7%となっている。IR予算は少なく、小さいマーケットであり、同社グループはこの分野に特化はしない。電子化によって縮小するので拡大することはないだろうと予想している。自発的開示に費用をかけない上場企業が多いことから、ごく限られた企業だけが生き残る市場となることが予想される。

次はSR市場だが、同社グループはこの市場で最大の収益を上げており、独立系の強みを生かすことができている。そのため、今後も中核となる事業分野と位置付けている。同社グループはこの分野の実質株主判明調査から企業規模を拡大してきている。機関投資家の日本株の保有状況について国内外で調査を行っており、このビジネスフィールドは推定で1,000億円程度の市場規模があるとみている。証券代行業務、株主総会関連支援業務として、事前賛否シミュレーション、総会議案可決アクションプラン策定、議決権行使結果分析があり、株主判明コンサルティングとして実質株主判明調査を行っている。同社グループは現在、ニューヨークのパークアベニューにリサーチ拠点を置き、徹底した実質株主判明調査を行っている。国内外の機関投資家の日本株保有状況をつぶさに把握しており、彼らの議案への投票行動も分析している。このビジネスフィールドの同業には、信託銀行があるが、基本的には自社ですべての実質株主判明調査を行っているのは同社グループのみである。2018年3月期で実質株主判明調査の調査件数は999件となった。

M&A市場について、企業に対するFA(ファイナンシャルアドバイザー)としての市場が1,800億円程度の規模があると同社グループでは見ており、友好的M&A、敵対的M&Aや委任状争奪戦のビジネスを想定している。同社グループは日本初のコミットメント型ライツイシューのアドバイザーを務めたことをはじめ、このマーケットでのビジネス拡大を考えている。案件もSRコンサルティングの中から数多く依頼が来ている。企業買収、M&Aの仲介、デューデリジェンスなどこれからも急拡大していくと思われる。同社グループが担うM&Aは、GCA<2174>が行う大規模なものと、日本M&Aセンター<2127>が行う未上場中小規模のものの中間に位置する。MBO案件も増加していくと見込んでおり、ノウハウを着実に蓄積している。


■事業内容

同社グループの事業領域は、「IR・SR活動に専門特化したコンサルティング業」であるが、以前より、実質株主判明調査、議決権事前賛否シミュレーション、プロキシー・アドバイザリー(株主総会における総合的な戦略立案)、取締役会評価、投資銀行業務等幅広い事業を行っている。サービス別に事業内容を見ていく。

1. IR・SRコンサルティング
当業務は、実質株主判明調査、議決権事前賛否シミュレーション、プロキシー・アドバイザリー、投資銀行業務、証券代行業務等を中心とする同社グループの中核サービスである。同サービスの売上高は前期と比較すると、2018年3月期は、12.7%増となった。2015年に施行されたコーポレートガバナンス・コードへの対応を上場企業が具体的に始め、同社グループの議決権関連のコンサルティングの引き合いが強まった。実際のところ、全世界で日本株に投資をする機関投資家の議決権行使担当者を同社グループは正確に把握している。彼らの投票パターンもつかんでおり、第三者機関を使って議決権行使をするのか、独自で行うのかなどのことも把握している。投資銀行業務に関しては、M&A、ファイナンス案件等のFA業務が増加している。従来は議決権確保が中心であったが、それに関連したM&A、ファイナンス案件等のビジネスチャンスも増えてきた。新規参入した証券代行業務に関しては既に確立した業界の中、新規上場企業を始め上場企業の受託会社数を着実に伸ばしている。

投資銀行業務の主な実績(ディスクローズされているもののみ)
(1) 2005年 経営統合案件
三共(株)(現第一三共<4568>)vs M&Aコンサルティング(村上ファンド)に関して三共・第一製薬(株)側を支援、統合成立をもって三共側の勝利。
概要:村上氏率いるM&Aコンサルティングが三共・第一製薬経営統合議案への反対を表明。三共側プロキシーアドバイザーとして統合議案可決を支援。

(2) 2007年 敵対的TOB
ブルドックソース<2804>vs スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドに関してTOB不成立をもって、ブルドックソース側の勝利。
概要:筆頭株主であるスティール・パートナーズがブルドックソースに対し敵対的TOBを展開。ブルドックソース側プロキシーアドバイザーとしてTOB不成立に向けて支援。

(3) 2007年 委任状争奪戦
イオン<8267>vs (株)CFSコーポレーション※に関して統合不成立をもってイオン側の勝利。
概要:CFSコーポレーションと(株)アインファーマシーズの統合に対して、CFSコーポレーションの筆頭株主であるイオン側プロキシーアドバイザーとして統合不成立に向けた委任状回収を支援。

※2016年9月にウエルシアホールディングス<3141>の子会社、ウエルシア薬局(株)との合併により消減。


(4) 2007年 株主提案
電源開発<9513>vs TCI(ザ・チルドレンズ・インベストメント・マスターファンド)に関して株主提案否決をもって、電源開発側の勝利。
概要:筆頭株主であるTCIが増配等の株主提案。電源開発側プロキシーアドバイザーとして株主提案の否決を支援。

(5) 2008年 経営統合
(株)三越・(株)伊勢丹(現三越伊勢丹ホールディングス<3099>)に関して統合成立。
概要:三越・伊勢丹の経営統合に向けて両社のプロキシーアドバイザーとして統合議案可決を支援。

(6) 2017年 資本業務提携
(株)神明・(神明 子会社)元気寿司株式会社・(株)スシローグローバルホールディングスの資本業務提携。
概要:(株)神明のFAとして(株)スシローグローバルホールディングスの株取得に関するアドバイザリー業務。400億円規模のディールサイズであり、回転すし業界で圧倒的な地位を確立するというシンボリックなディールとなった。

2. ディスクロージャーコンサルティング
ツールコンサルティング及びリーガルドキュメンテーションサービス。ツールとは、アニュアルレポート、統合報告書、株主通信等IR活動において必要とする各種情報開示資料で、その企画や作成支援を行っている。リーガルドキュメンテーションは、企業再編やM&A時における各種英文開示書類の作成や和文資料の英訳等である。売上高は、前期と比較し11.7%減少。競合が多く、利益率が比べて低いが、最近は統合報告書の受注が増え、またESG投資等が注目され、2019年3月期の売上高は増加してくるとみている。

3. データベース・その他
「IR-Pro」は、大量保有報告書や国内・海外公募投信における株式組み入れ状況等を提供するIR活動総合サポートシステムであり、実質株主判明調査の簡易版の位置付けで、大量保有報告書も見ることができる。大量保有報告書に関しては、過去10年分が収録されている。主にIR担当や証券会社が利用している。また、IR説明会への参加受付や参加者の管理等を上場企業が一括実施することが可能な「アナリストネットワーク」のサービスを行っている。個人株主向けアンケートサービス「株主ひろば」も展開。売上高は前期比9.9%の減少。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 福田 徹)

《MH》

 提供:フィスコ

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